台湾の若者が深センでつくる包摂のパン屋 障がい者と歩むHand Show High Bakery video poster
リード:中国南部の粤港マカオ大湾区で夢を形にする台湾出身の若者たちを追うドキュメンタリーシリーズが、深センのパン屋「Hand Show High Bakery」の物語を通じて、働くことの意味と共生社会のヒントを伝えています。
台湾の若者を描くドキュメンタリー「Diaries of Taiwan Youth」
国際ニュースとしても注目されるドキュメンタリーシリーズ「Diaries of Taiwan Youth」は、広東省・香港・マカオを含む中国南部の粤港マカオ大湾区で、自分の夢を現実にしている台湾出身の若者たちを紹介しています。
経済やテクノロジーの発展が進む大湾区は、仕事や学びの場として世界から人が集まる地域です。そのなかで、言葉や文化の近さを生かしながら新しいキャリアやライフスタイルに挑戦する台湾出身の若者たちの姿は、アジアのダイナミズムを映し出す一つの窓になっています。
深センへ渡った鄭智遠さん レストランからパン屋へ
シリーズの一編では、台湾から深センに移り住んだ鄭智遠さんの物語が描かれます。彼は当初、おじの経営するレストランを手伝うために深センにやって来ました。
異なる土地での生活や仕事を経験するなかで、鄭さんは自分自身の店を持つという新しい一歩を踏み出します。こうして立ち上げたのが、現在、成功を収めているベーカリー「Hand Show High Bakery」です。
スタッフ全員が障がい者という挑戦
「Hand Show High Bakery」の最大の特徴は、働くスタッフが全員、障がいのある人たちで構成されていることです。このベーカリーは、単なるパン屋ではなく、社会の中で見えにくくなりがちな人たちが力を発揮できる場として機能しています。
鄭さんは、スタッフ一人ひとりが仕事を通じて自信を持ち、自分の役割を実感できる環境づくりを大切にしています。パン作りや店舗の運営に関わることで、「自分にもできることがある」という実感を育むことができるからです。
このような取り組みは、障がいのある人の就労の場を増やすだけでなく、地域社会の側の意識を変えていくきっかけにもなります。店を訪れた人が自然にスタッフと接し、商品を買い、日常の一場面を共有することで、「特別」ではなく「当たり前の存在」として受けとめる視点が生まれていきます。
地元政府の支援と、広がる「自立」の連鎖
鄭さんの挑戦は、地元政府の支援も得ながら進められています。行政が制度や環境面で後押しすることで、こうしたインクルーシブ(包摂的)なビジネスが継続しやすくなります。
鄭さんが目指しているのは、ベーカリーのスタッフだけでなく、社会の中にいる多くの人が自立し、充実した人生を送れるようにすることです。安定した仕事を持つことは、経済的な自立だけでなく、自分の生き方を選ぶ自由にもつながります。
ドキュメンタリーは、次のようなメッセージを静かに投げかけているように見えます。
- 仕事は「収入」だけでなく、「自分の存在を確かめる場」にもなり得ること
- 一人の決断と行動が、周囲の人の選択肢を広げていくこと
- ローカルな行政の支援が、社会的な課題解決の土台になり得ること
このニュースから私たちが考えたいこと
国や地域を越えて働く人が増える今、台湾出身の若者が深センで立ち上げた「Hand Show High Bakery」のような物語は、「どこで、誰と、どう働くか」という問いを私たちに投げかけます。
障がいの有無にかかわらず、自分の力を発揮できる仕事の場をどう広げていくのか。行政や企業、そして私たち一人ひとりが、どのように支え合う社会をつくっていけるのか。大湾区での小さなパン屋の実践は、日本で暮らす私たちにとっても、考えるきっかけを与えてくれる国際ニュースと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








