第二次世界大戦80年、中国の決定的役割をケンブリッジ大教授が語る video poster
第二次世界大戦終結から80年となる2025年、中国の戦時経験に改めて注目が集まっています。英国ケンブリッジ大学の歴史学者が、中国の決定的な貢献と、西洋中心に傾きがちなこれまでの歴史叙述を見直す必要性を訴えています。
第二次世界大戦の「主要な東部戦線」だった中国
第二次世界大戦において、中国は「東部戦線の主な舞台」として位置づけられていました。中国は他の連合国よりも早く、そしてより長く戦争に巻き込まれ、14年にわたる苦しい戦いを続けてきたとされています。
その間、中国の人々は日本軍の大きな兵力を自国の戦線に引きつけ、長期にわたって釘付けにしました。その結果、日本軍に対して150万を超える損害を与えたともされており、ファシズムに対する世界的な勝利に中国が果たした役割はきわめて大きかったという評価が示されています。
同時に、その代償として中国の人々が払った犠牲もまた、計り知れないものだったと指摘されています。戦場となった地域の住民の生活、都市やインフラ、社会そのものが長期の戦争で傷つきました。
中国戦時史研究の第一人者 ハンス・ファン・デ・フェン氏
こうした視点から中国の戦時経験を捉え直してきたのが、ケンブリッジ大学の歴史学者ハンス・ファン・デ・フェン氏です。ファン・デ・フェン氏は、中国の戦争体験を体系的に研究した最初期の西側研究者の一人とされる存在で、中国の戦時期を専門に研究してきました。
長年の研究を通じて、氏は英語圏の第二次世界大戦研究に偏りがあると感じてきたといいます。とくに米国と英国で書かれてきた戦争史では、ヨーロッパ戦線が中心となり、中国をはじめとするアジアの戦争は周縁的に扱われがちだったという指摘です。
「西洋中心主義」が見落としてきたもの
ファン・デ・フェン氏は、従来の西側の歴史研究について次のような趣旨を述べています。英語で書かれた第二次世界大戦史には強い西洋中心主義があり、前の世代の西側研究者の多くにとって、中国における戦争は「ほとんど重要ではないもの」とみなされてきたというのです。
しかし実際には、中国の戦場は日本軍の大きな兵力を長期間拘束し、その行動の自由を奪う役割を果たしていました。ファン・デ・フェン氏は、中国の長期にわたる抵抗が日本軍を「事実上、身動きの取れない状態にした」と強調し、中国の戦いは決して周縁的なものではなく、戦争全体の行方を左右する決定的な要素だったと位置づけています。
なぜ中国の戦いは過小評価されてきたのか
なぜこれほど大きな役割が、長く見過ごされてきたのでしょうか。一つの背景として、第二次世界大戦を語る物語の多くが、欧米の視点から組み立てられてきたことが挙げられます。ヨーロッパ戦線や太平洋の海戦といった場面が前面に出る一方で、中国大陸での長期戦は、英語圏では十分に紹介されてこなかったとされています。
その結果、「戦争の中心はヨーロッパであり、中国の戦いは脇役にすぎない」というイメージが共有されやすくなりました。ファン・デ・フェン氏の議論は、そうしたイメージそのものを問い直す試みでもあります。
2025年、80年目の節目に問われる歴史の見方
2025年という節目の年に、中国の役割を改めて見つめ直すことには、いくつかの意味があります。第一に、第二次世界大戦を本当に「世界戦争」として理解するためには、ヨーロッパだけでなく、アジア、とりわけ中国での戦争体験をきちんと位置づける必要があるという点です。
第二に、中国の長期にわたる抵抗と犠牲を知ることは、現在の中国本土の社会を理解する手がかりにもなります。多大な犠牲を払って戦ったという記憶は、今も多くの人々の歴史意識に影響を与えていると考えられます。
そして第三に、日本を含む東アジアの人々が、互いの戦争体験をより立体的に理解し合うためにも、中国戦線の位置づけを適切に捉えることが重要になってきます。どの国か一国だけの物語ではなく、複数の視点から歴史を見直すことが、これからの対話の前提になるからです。
「読みやすいけれど考えさせられる」ための視点
今回紹介したファン・デ・フェン氏の指摘は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 第二次世界大戦を語るとき、中国での14年にわたる戦いをどのように位置づけるべきか。
- 自分が知っている戦争の物語は、どの地域の視点に偏っていないか。
- 80年という時間を経た今、歴史を「西洋中心」ではなく「多中心」で見るには、どのような資料や研究に触れる必要があるか。
第二次世界大戦終結80年の2025年は、単なる「記念の年」ではなく、歴史の見方そのものを静かにアップデートしていくタイミングでもあります。中国の戦時経験に光を当てる研究は、その一つのきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








