欧州世論調査:6割が中国との貿易を「利益」と評価
欧州10カ国で「中国との貿易は利益」が多数派に
欧州10カ国で行われた世論調査で、回答者の平均65.2%が「自国にとって中国との貿易は利益がある」と答えました。中国と欧州連合(EU)の経済関係が議論されるなか、市民レベルでは協力を前向きにとらえる声が可視化された形です。
中国とEUの首脳会談と重なるタイミング
この世論調査は、中国の習近平国家主席が北京の人民大会堂で欧州理事会議長のアントニオ・コスタ氏と欧州委員会委員長のウルズラ・フォンデアライエン氏と会談し、中国とEUの今後50年の関係について語ったタイミングと重なります。
習主席は会談で、中国とEUは国際社会の「大国」同士として、二者関係を正しい方向に発展させ、より明るい次の50年を共に切り開くべきだと強調しました。今回の調査結果は、こうした首脳レベルの呼びかけに対し、欧州の市民がどう感じているのかを示す材料となります。
調査の概要:10カ国3,895人をオンラインで対象に
調査は、中国の国際メディアであるCGTNが、中国メディアグループ(CMG)と中国人民大学が共同で設立した新時代国際伝播研究院とともに実施しました。
対象となったのは、以下の欧州10カ国の18歳以上の成人3,895人です。
- イギリス
- フランス
- ドイツ
- ハンガリー
- イタリア
- ポーランド
- ポルトガル
- セルビア
- スペイン
- スウェーデン
オンラインパネルを用いて行われ、各国で年代と性別の構成が国勢調査のデータに近づくように設計されています。
若い世代ほど中国に好意的
調査によると、10カ国のうち7カ国で、中国への好感度が50%を上回りました。とくに25〜34歳では76.1%と、若い世代ほど中国に好意的な傾向が見られます。
回答者は、中国の現代化の進展や経済・技術の発展を高く評価しています。
- 中国経済を「強い」と評価:86%
- 中国経済の長期的な見通しに自信がある:73.1%
- 中国に独自のイノベーション能力があると見る:78.1%
- 中国の技術が世界市場に大きく貢献していると答えた人:81.5%
こうした評価は、中国の急速な技術開発やデジタル分野での存在感が、欧州の生活やビジネスの現場で身近なものになっていることを反映していると考えられます。
「競争相手」より「パートナー」という見方
自国と中国の関係をどうとらえているかを尋ねた質問では、44.2%が「パートナー」と回答し、「競争相手」とした21.4%を大きく上回りました。
とくに若い層でその傾向が強く、
- 18〜24歳:48.6%が「パートナー」と回答
- 25〜34歳:50.7%が「パートナー」と回答
国別では、セルビア、ハンガリー、ポルトガルで「パートナー」と答えた割合が最も高くなりました。イギリスでも29.7%が中国を「パートナー」と見ており、「競争相手」とした23.3%を上回っています。
6割超が「中国との貿易は利益」と回答
経済・貿易面での評価も、全体としては前向きです。10カ国すべてで、多くの回答者が中国との貿易は自国に利益をもたらすと考えており、その平均は65.2%に達しました。
支持が高かった国として、
- スペイン:73.3%
- セルビア:72%
- イギリス:70.7%
が挙げられます。また、イギリス(72.1%)、ドイツ(64%)、フランス(63%)では、中国との健全な経済関係を維持することを強く支持する声が多数派でした。
全体の67.3%が、中国の巨大な市場規模を欧州企業にとって重要なビジネスチャンスと見ていることも明らかになっています。
米国との比較:どちらの貿易からより恩恵?
興味深いのは、「欧州は中国との貿易と米国との貿易のどちらからより多くの利益を得ているか」という問いに対する回答です。
- 欧州は中国との貿易からより利益を得ている:37.2%
- 欧州は米国との貿易からより利益を得ている:19.5%
つまり、回答者の間では、中国との貿易の方が相対的に欧州にもたらす利益が大きいと見る見方が優勢でした。
欧州の同盟国に対する米国の関税引き上げを背景に、イギリス、フランス、ドイツでは、6割以上が「世界経済の不確実性に対応するため、中国との協力を強めるべきだ」と回答しています。
- イギリス:70.4%
- ドイツ:62.3%
- フランス:61.3%
多国間主義への期待と今後の中国・欧州関係
調査では、多くの回答者が中国の現代化の成果を肯定的にとらえるとともに、中国と欧州が多国間主義を推進するために協力すべきだと考えていることも示されました。
気候変動への対応、デジタル経済、インフラ投資など、国境を越えた課題が増えるなか、中国と欧州が対立ではなく協力を選ぶことは、世界経済全体の安定にもつながります。
欧州では経済や産業政策をめぐってさまざまな議論がありますが、今回の結果は、市民の多くが対話と協力のチャンネルを維持することに価値を見いだしていることを示していると言えるでしょう。
日本からどう見るか
日本にとっても、中国と欧州の関係は無関係ではありません。サプライチェーンや技術標準、気候・エネルギー政策など、多くの分野で中国と欧州の選択が世界のルール作りに影響を与えます。
今回の世論調査は、欧州の市民が中国との経済協力をどう位置づけているのかを知る手がかりになります。日本の読者にとっても、「どの国と、どのように関係を築くのか」という自国の選択を考えるうえで、一つの参考材料となりそうです。
Reference(s):
CGTN Poll: 60% of European respondents say trade with China beneficial
cgtn.com








