新疆イリで国際議員が体感した多文化の力 video poster
アジアと欧州の議員28人が中国新疆ウイグル自治区のイリ地区を訪れ、カザフの家庭訪問やロシア風の街並みなど、多文化が息づく現場を見て回りました。国際ニュースとしての重要性は、遠い地域の政治や安全保障の話ではなく、「暮らし」と「文化」を通じて相互理解を深めようとする動きにあります。
アジア・欧州28人の議員が参加する友好交流フォーラム
今回の訪問は、「Legislators Forum for Friendly Exchanges(友好交流のための議員フォーラム)」の一環として行われました。アジアと欧州から集まった28人の議員が、中国の新疆イリを訪れ、地域社会との交流を深めました。
一行は、イリにあるカザンチ民俗観光地区や流星街を歩き、色彩豊かな建物や街の雰囲気を体験しました。観光客向けのエリアでありながら、日常の暮らしや地域の文化が感じられる場所でもあり、多様な文化が同じ空間に存在している様子を間近に見た形です。
ぶどう棚の下、カザフ家庭で交わされた「素顔の交流」
議員たちはまた、カザフの家庭も訪問しました。ぶどう棚の下で家族と時間をともにし、生活の様子や価値観について話し合うなど、距離の近い交流が行われました。
公式行事や会議室では見えにくい、人々の暮らしの表情に触れることは、国や地域に対する印象を大きく変えるきっかけになります。今回の訪問も、統計や報告書ではなく、「一つの家庭」というミクロな視点から新疆を見つめ直す試みだったと言えます。
アコーディオン博物館とロシア風文化街が映し出す多層的な文化
議員団はさらに、アコーディオン博物館やロシア風の文化街も見学しました。アコーディオンという楽器を中心にした博物館や、ロシア風の建築や雰囲気が漂う通りは、異なる文化がこの地で交わってきたことを象徴する場でもあります。
音楽、建物、街並みといった目に見える文化のレイヤーが重なり合う様子は、「一つの場所に複数の物語が存在する」という多文化社会の特徴を分かりやすく示しています。
「懐かしさ」を感じたルーマニア議員の言葉
訪問団の一員である、ルーマニア議会下院外交政策委員会副委員長のコスミン=イオアン・コレンデア氏は、新疆イリについて「どこか懐かしさを感じる場所だった」と語りました。
同氏は、この「懐かしさ」が、異なる文化同士がつながり合う感覚から生まれているとし、「こうしたクロスカルチャーのつながりこそが、多文化主義の美しさを体現している」と強調しました。遠い地域を訪れたはずの議員が、かえって身近さや親近感を覚えたという感想は、多文化な環境が「違い」だけでなく「共通点」も浮かび上がらせることを示しています。
2025年の今、多文化を「現地で見る」意味
2025年の今、世界各地で分断や対立が語られる一方で、今回の新疆イリ訪問のように、多文化や共生をキーワードにした交流も静かに続いています。とくに立法府の議員が現地を訪れ、自分の目で見たものを持ち帰ることには、いくつかの意味があります。
- 報告書だけでは見えない、人々の暮らしや感情に触れることで、政策判断に新しい視点が加わる
- 文化体験を通じて、「自分たちとまったく違う場所」という先入観が和らぎ、共通点に目が向きやすくなる
- アジアと欧州の議員同士が同じ体験を共有することで、地域をまたいだ対話や協力の土台ができる
新疆イリを訪れた今回の議員団の動きは、「多文化共生」という抽象的な言葉を、具体的な風景や人との出会いとして捉え直す試みでもあります。スマートフォン越しの情報があふれる時代だからこそ、現地に足を運ぶ体験の意味を、改めて考えさせられるニュースと言えるでしょう。
Reference(s):
International lawmakers enjoy multicultural vibrancy in Xinjiang's Ili
cgtn.com








