メンタルヘルスを守る3つの習慣 バーンアウトを防ぐ「内なる摩耗」との付き合い方 video poster
仕事のストレスや将来への不安で心がすり減り、「何もしたくない」「頭の中がぐるぐるして眠れない」と感じる人が増えています。こうした中、上海メンタルヘルスセンター副院長のWang Zhen(王真)医師は、特別番組 Health Talk で、心の健康を守るための具体的なヒントを語りました。
心の健康をむしばむ「メンタルの内なる摩耗」とは
Wang医師が紹介したキーワードが、メンタルの「内なる摩耗(メンタル・インターナルフリクション)」です。これは、自分を責めながら考えすぎるばかりで、行動に移せず、心のエネルギーだけが消耗していく状態を指します。
例えば、次のようなサイクルに心当たりはないでしょうか。
- 仕事のミスを何度も頭の中で再生し、「自分はダメだ」と責め続ける
- やるべきことのリストを見て不安が高まり、結局手がつかない
- 休んでいても「休んでいていいのか」と不安になり、心が落ち着かない
この「内なる摩耗」が続くと、集中力の低下、不眠、イライラ感などが強まり、ストレス関連のメンタル不調につながるおそれがあります。
「疲れたから家にこもる」は正解?
仕事で疲れ切ったとき、「今日は誰とも会わずに家で休もう」と感じることは自然なことです。短期的には、十分な睡眠や一人の時間によって心身をリセットする効果があります。
一方で、Wang医師が強調するのは、メンタルヘルスを守るうえで「社会的なつながり」を断ち切らないことの重要性です。家にこもる時間が長くなり、誰とも話さない日が続くと、考えごとが頭の中で反芻され、「内なる摩耗」が強まるリスクがあります。
ポイントは、「休むこと」と「孤立すること」を混同しないことです。一人でゆっくり休む日があってもよいですが、以下のような小さなつながりを意識して保つとよいでしょう。
- 信頼できる家族や友人に、メッセージで近況を伝える
- オンラインでもよいので、誰かと短時間でも雑談する
- 気分が少し上がってきたら、散歩に出て人の気配を感じる
ストレス関連のメンタル不調を防ぐ3つの柱
番組でWang医師は、ストレス関連のメンタル障害は、日常の習慣や人とのつながりを整えることで予防しうると指摘しました。ここでは、その要点を3つの柱として整理します。
1. 健康的な生活習慣を「最低ライン」として守る
心の健康は、生活リズムの上に成り立ちます。完璧を目指す必要はありませんが、次のような「最低ライン」を自分なりに決めておくと、心が大きく崩れにくくなります。
- 睡眠:毎日ほぼ同じ時間に寝起きする、徹夜を習慣にしない
- 食事:極端な食事抜きや暴飲暴食を避け、できる範囲で規則正しく
- 活動:短時間でもよいので、散歩やストレッチなど体を動かす
- デジタル:ニュースやSNSから離れる時間を意識的につくる
こうした「土台」が整っていると、ストレスに対する心の回復力(レジリエンス)が高まり、「内なる摩耗」からの立ち直りも早くなります。
2. 社会的なつながりを意識して維持する
Wang医師は、ストレス関連のメンタル不調を防ぐうえで、社会的なつながりの役割を重視しています。人とつながることは、単に孤独感を和らげるだけでなく、自分一人では気づけない視点や感情を共有できる機会にもなります。
とはいえ、忙しい日々の中で新たな人間関係を広げる必要はありません。次のような「小さなつながり」から始めることができます。
- 週に一度は、信頼できる人と近況を話す時間をつくる
- オンラインのコミュニティや趣味のグループで、ゆるく交流する
- 職場や学校で、あいさつやちょっとした会話を丁寧に交わす
「誰とも話さない日をゼロにする」というシンプルな目標を掲げるだけでも、内面の負荷が軽くなることがあります。
3. ポジティブな対処戦略を身につける
ストレスをゼロにすることはできませんが、その受け止め方や対処のしかたは変えることができます。Wang医師が強調する「ポジティブな対処戦略」とは、ストレスに押し流されるのではなく、自分に合った方法で向き合うための工夫です。
例として、次のような方法があります。
- 考えを書き出す:頭の中でぐるぐる考えるのではなく、紙やメモに整理する
- タスクを細かく分ける:「完璧にやる」ではなく、「まず5分だけやる」から始める
- 自分の感情を言葉にする:「今は不安なんだな」とラベリングして受け止める
- 小さな楽しみを予定に入れる:一日の中に「ほっとする時間」をあらかじめ確保する
こうした対処戦略が身についていると、「内なる摩耗」が始まっても、早い段階でブレーキをかけやすくなります。
それでもつらいと感じたら
ここまで紹介してきた習慣や考え方は、日常的なストレスや軽い落ち込みに対して役立つヒントです。一方で、次のような状態が続く場合は、できるだけ早く専門家に相談することが大切です。
- 2週間以上、ほとんど毎日気分が落ち込んでいる
- 眠れない、または寝ても強い疲労感がとれない
- 仕事や勉強、家事への意欲がほとんどわかない
- 「消えてしまいたい」といった考えが何度も浮かぶ
心の不調は、早めの相談と適切なサポートによって、回復の道が開けることが多いです。一人で抱え込まず、身近な人や専門機関に「話してみる」一歩を踏み出すことが、メンタルヘルスを守るための重要な行動になります。
考えすぎて動けなくなる「内なる摩耗」は、多くの人が直面しうる現代的なストレス反応です。Wang医師が語ったように、健康的な習慣、社会的なつながり、ポジティブな対処戦略という3つの柱を意識することで、バーンアウトに至る前に自分の心を守ることができます。
Reference(s):
cgtn.com








