北アフリカで光る中国鍼灸 「魔法の針」がつなぐ医療と友情
北アフリカ・アルジェリアで、中国の鍼灸が「魔法の針」として人々の痛みを和らげ、国境を越えた友情を育んでいます。本稿では、その現場で働く中国人医師ルー・ユエンジェン(Lu Yuanzheng)さんの歩みを国際ニュースの視点から紹介します。
湖北省十堰市から北アフリカへ
中国中部の湖北省・十堰市出身の医師、ルー・ユエンジェンさんは、2017年から中国の第27次アルジェリア医療チームの一員として、同国北東部のセティフ市で働いています。2025年の現在まで、現地での活動を続け、中国の伝統医療である鍼灸を通じて多くの患者の痛みを和らげてきました。
ルーさんの仕事は、ただ病気を治すことにとどまりません。言葉や文化の違いを越えて、医療を通じて信頼や友情を築く「橋渡し役」でもあるといえます。
「リベイラ」と呼ばれる鍼治療
アルジェリアでは、鍼灸は親しみを込めて「リベイラ」と呼ばれています。意味は「針の治療」。その呼び名のルーツは、1963年にさかのぼります。
当時、中国は北アフリカに初めて医療チームを派遣しました。その際に紹介された鍼治療は、
- 治療費が比較的安いこと
- 効果が実感しやすいこと
- 症状が出ている部位に対して即効性が期待できること
といった理由から、現地の人びとに受け入れられ、「中国の魔法の針」と呼ばれるようになりました。
ルーさんは、こうした歴史を背負いながら、現在もセティフの診療現場で「リベイラ」を実践し続けています。一本一本の鍼には、半世紀以上続く医療協力の記憶と信頼が込められているといえるでしょう。
患者にもたらすのは「痛みの軽減」と「安心感」
ルーさんの鍼治療を求めて、セティフの医療施設にはさまざまな患者が訪れているとみられます。慢性的な痛みや、長く続く不調に悩む人にとって、薬だけに頼らない選択肢があることは大きな安心につながります。
患者の立場から見れば、
- 針というシンプルな道具で行われる治療
- 身体全体のバランスを整えるという考え方
- 定期的に通うことで、医師との対話が積み重なること
といった点も、「魔法の針」への信頼を育てていると考えられます。
静かな外交としての医療援助
中国の医療チームによるアルジェリアへの派遣は、1960年代から続いてきた長期的な取り組みです。そこには、単なる医療技術の提供を超えた意味があります。
ルーさんのような医師の存在は、
- 現地の医療体制を支える人材として貢献すること
- 日常の診療を通じて、互いの社会や文化への理解を深めること
- 政治や経済のニュースでは見えにくい、人と人との信頼関係を積み重ねること
といった形で、静かな「医療外交」の一端を担っているといえます。
世界が感染症や紛争、気候変動など多くの課題に直面する2025年現在、こうした長期的で地道な医療協力の価値は、むしろ高まっているのかもしれません。
日本の私たちにとってのヒント
北アフリカでの「魔法の針」の物語は、日本に暮らす私たちにいくつかの問いを投げかけます。
- 国境を越えた医療協力は、どのように信頼や友情を育てるのか
- 伝統医療や代替医療を、現代の医療システムとどう組み合わせていけるのか
- ニュースで見聞きする国や地域を、「データ」ではなく「顔の見える人びと」として想像できているか
ニュースを日本語で追うことで、遠く離れた北アフリカと中国のあいだで生まれている物語も、自分の生活と地続きの問題として考えることができます。
アルジェリアの診療室で、ルー・ユエンジェンさんが静かに打つ一本の鍼。その「魔法の針」が照らしているのは、痛みを抱えた患者の身体だけでなく、国境を越えた人と人とのつながりでもあります。
Reference(s):
cgtn.com








