ASEAN+3首脳会議で中国の李強首相、開発戦略の連携強化と新成長分野での協力を提案
マレーシアで8日に開かれた第28回ASEAN+3首脳会議で、中国の李強首相が演説し、各国・地域との開発戦略の連携強化や開放的な協力の維持、新たな成長分野での協力拡大を呼びかけました。東アジア経済の不透明感が増す中で、地域としてどう成長していくのかを示すメッセージとなっています。
第28回ASEAN+3首脳会議で何が語られたのか
李首相は、マレーシアで行われた第28回ASEAN+3首脳会議の場で、まず東ティモールがASEANファミリーに正式に加わったことを祝福しました。会議には、ASEAN諸国に加えて、中国、日本、韓国が参加し、東アジアの経済協力について協議しました。
李首相はこの1年について、ASEANと中国、日本、韓国の協力は「概して前向きな勢いを維持している」と評価し、東アジア経済の強さと活力が示されたと述べました。
東アジア経済の「奇跡」は今も進行中
一方で李首相は、国際的な経済・貿易環境が複雑に変化する中、東アジアも経済面での困難や課題が増し、不安定さや不確実性が高まっていると指摘しました。
その上で、東アジアは数十年にわたり世界で最も成長の速い地域の一つとして「いくつもの経済的奇跡を生み出してきた」と強調。これは過去の物語ではなく、「今も続いているプロセス」だとし、過去の経験から知恵と力を引き出す重要性を訴えました。
開発戦略の連携と「開放・協力」の維持を提案
李首相のメッセージの中心にあるのは、「開発戦略の連携」と「開放的な協力」の二つです。中国は、各国・地域と開発戦略をより緊密に結びつけ、経済の潜在力を引き出し、より広い発展空間を共に切り開く用意があると表明しました。
そのうえで、東アジアがこれまで積み重ねてきた「開放と協力」の経験は、実践の中で得られた貴重な財産であり、今後も大切に引き継ぐべきだと指摘。これを東アジア経済の「顕著な強み」と「成功の鍵」として位置づけました。
平和と安定、自由貿易を支える環境づくり
東アジアが成長を続ける前提として、李首相は「地域発展に適した環境づくり」が不可欠だと強調しました。具体的には次の点を挙げています。
- 対話と協議を通じて、意見の違いや対立を解決し続けること
- 自由貿易と多角的な貿易体制を支持し、これを守り抜くこと
- あらゆる形の保護主義に反対すること
- 地域経済統合を着実に前へ進めること
李首相は、こうした取り組みにより、東アジアで築いてきた貴重な平和と安定を維持・強化すべきだと呼びかけました。
産業・サプライチェーン協力の深化
今回の発言で、産業とサプライチェーン(供給網)の連携強化も大きな柱となりました。李首相は、各国・地域がそれぞれの強みを生かしながら、次のような方向性で協力を深めるべきだと提案しました。
- インフラや制度面の「つながり」をさらに高めること
- 分業と協力のレベルを引き上げること
- 人材、資本、技術など経済活動に必要な要素の流れを、より効率的にすること
また、中国としては、会議で採択された「地域の経済・金融協力の強化に関する声明」を各国とともに着実に実行していく姿勢を示しました。金融、貿易、食料安全保障などでの実務協力を進め、新たな「協力のハイライト」と「成長の起点」を増やしていく考えです。
デジタル経済・EV・クリーンエネルギーなど新成長分野
成長の新たなエンジンづくりについても、李首相は具体的な方向性を示しました。求められているのは、科学技術分野でのイノベーション(革新)の力をさらに高めることです。
- 科学技術イノベーションへの支援を強化すること
- 共同研究を進め、「ゼロからイチ」へと新しい技術やビジネスを生み出す力を高めること
- 既存の技術やサービスを「イチからエヌ」へと素早く広げていく力を強化し、イノベーションの波及を加速すること
そのうえで、中国はデジタル経済、電気自動車(EV)、クリーンエネルギーなどの分野で、各国・地域との協力をさらに深める用意があると表明しました。こうした分野は、東アジア全体で新しいビジネス機会や雇用を生み出す成長ドライバーとなることが期待されています。
日本と東アジアにとっての意味
今回のメッセージは、日本を含む東アジアの企業や投資家、政策担当者にとっても無関係ではありません。特に次のような視点が浮かび上がります。
- サプライチェーン再構築の行方:産業・供給網の連携強化は、製造業や物流、デジタルサービスなどに広く影響しそうです。
- 自由貿易と保護主義のせめぎ合い:自由貿易や多角的な貿易体制を支持し、保護主義に反対する姿勢は、東アジアがどのような経済秩序を志向するのかを示しています。
- 新成長分野での協力チャンス:デジタル経済、EV、クリーンエネルギーといった分野は、日本企業やスタートアップにとっても連携や投資の余地が大きい領域です。
「読みやすいのに考えさせられる」視点
李首相の発言を踏まえると、私たちが考えたい問いも見えてきます。
- 東アジアは、今後も「開放」と「協力」を軸に成長を続けられるのか。
- デジタル経済やクリーンエネルギーで、どの国・地域がどの役割を担うことになるのか。
- 日本や東南アジアの企業は、東アジア全体の連携強化の流れをどう自社の戦略に取り込むのか。
東アジアの「奇跡」は、過去の成功物語ではなく、今も形を変えながら続いているプロセスだと李首相は強調しました。今回のASEAN+3首脳会議で示された方向性が、地域の次の10年をどう形づくっていくのか。今後の具体的な政策やプロジェクトの動きにも注目が集まりそうです。
Reference(s):
Premier Li calls for stronger alignment of development strategies
cgtn.com








