西安の唐風ウェルカムセレモニー グローバルサウスメディア首脳を魅了 video poster
中国の歴史都市・西安で開かれているグローバルサウスメディアの会合に合わせ、古都・長安の雰囲気を再現した歓迎セレモニーが行われ、世界各地から集まったメディア関係者を魅了しました。文化とメディア協力を組み合わせたこの試みは、グローバルサウスの連携強化という今年の国際ニュースの流れとも重なります。
唐の都・長安にタイムスリップする歓迎式
今週、水曜の夜に行われた歓迎セレモニーの舞台となったのは、西安の古城壁南門・永寧門です。イベント名は「Dream of Chang'an – The Grand Tang Welcoming Ceremony」。唐(618〜907年)時代の宮廷儀礼を現代によみがえらせる演出で、参加者はまるでタイムスリップしたかのような体験をしました。
出演者たちは唐代の衣装をまとい、色鮮やかな装束や独特のメイクで、長安(西安の古い呼び名)が帝都として栄えた時代の雰囲気を再現しました。音楽や所作まで細かく作り込まれ、賓客を迎えるための古代の儀式が、没入型のショーとして表現されたのが特徴です。
コンゴ民主共和国の通信担当大臣の顧問を務めるリンダ・バウマ氏は、セレモニーを「まるで宮殿に来たかのような歓迎」であり、「皇帝自ら迎えてくれているように感じた」と振り返りました。衣装や出演者の存在感に強い印象を受けたといいます。
ラテンアメリカ情報同盟のマネージングディレクターであるフアン・カルロス・イササ氏も、西安の規模と美しさに驚いたと語りました。「こんなに大きな都市だとは知らなかった。色彩やメイク、衣装に圧倒され、まるで千年前の中国にいるようだった」と述べ、パフォーマンスの完成度を高く評価しました。
シルクロードの起点・西安で開かれる国際メディア会合
今回の文化イベントは、グローバルサウスメディア・パートナーシップ・メカニズム設立会合と、第13回グローバルビデオメディアフォーラム(VMF)という二つの会合の歓迎行事として企画されました。いずれも、グローバルサウスのメディア協力を進めることを目的とした国際会合です。
会場となった西安は、かつてシルクロードの起点として、多様な文明や人々が行き交った都市です。古代から続くこの「交差点」としての役割が、現代のメディア交流の舞台に重ね合わされている点は象徴的だと言えるでしょう。古都の城壁の前で行われた歓迎式は、メディア関係者の対話と協力に向けた「雰囲気づくり」としても機能しました。
グローバルサウスメディア・パートナーシップとは
グローバルサウスメディア・パートナーシップ・メカニズムは、いわゆるグローバルサウスの国や地域のメディア同士が連携を深めるための枠組みです。主なねらいは、次のような分野で協力を進めることにあります。
- ニュースや番組などのコンテンツ共有
- 記者や編集者を対象にした専門的な研修や人材交流
- 共同制作や共同取材などのプロジェクト
- メディア研究やジャーナリズムをめぐる学術対話
こうした仕組みが動き出すことで、グローバルサウス側からの視点や経験が、より直接的に世界へ発信されることが期待されています。
第13回グローバルビデオメディアフォーラム(VMF)の位置づけ
今回の西安での会合とあわせて開催されているのが、第13回グローバルビデオメディアフォーラム(VMF)です。VMFは、CCTV+が2011年に立ち上げた年次イベントで、動画によるコミュニケーションの最新動向に焦点を当てています。
フォーラムは、世界各地のメディア関係者が集まり、映像表現や配信技術、視聴者とのインタラクションなどを議論する専門的な対話の場となっています。単なる講演会ではなく、実務に携わる担当者同士が互いに学び合う「双方向のプラットフォーム」として機能している点が特徴です。
メディア協力がもたらす可能性
今回のグローバルサウスメディア・パートナーシップとVMFの組み合わせからは、いくつかの重要なポイントが見えてきます。
- 情報の多様化:コンテンツ共有や共同制作を通じて、グローバルサウスの現場からの声がより多く流通する可能性が高まります。
- 人材とノウハウの循環:研修や交流を通じて、報道・制作技術が互いに高め合える環境が整います。
- 共通課題への共同アプローチ:気候変動や都市化、デジタル格差といった共通の課題について、複数の地域が連携して伝えることが可能になります。
こうした流れは、国際ニュースを日本語で受け取る私たちにとっても、報道の視点がより立体的になるという形で影響していきます。
文化体験が信頼を育むソフトな外交
今回の西安での歓迎セレモニーは、単なる観光的なイベントではなく、文化体験を通じて参加者同士の距離を縮める「ソフトな外交」の一場面とも言えます。歴史ある城門で唐代の儀礼を体感したメディア関係者は、中国の歴史や文化に対する理解を深めると同時に、ホスト側の「歓迎の気持ち」を具体的に感じることができたはずです。
こうした体験は、会議室での議論とは別のレベルで、信頼や親近感の土台をつくります。そのうえでメディア連携や共同制作の話し合いが進めば、合意形成もしやすくなります。シルクロードの起点で行われた今回のセレモニーは、まさに歴史と現在をつなぐ「文化の橋渡し」の役割を果たしたと言えるでしょう。
日本の読者にとっての意味
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、今回の西安での動きは次のような問いを投げかけています。
- グローバルサウス発の情報や視点を、私たちはどの程度受け取れているのか
- 動画やSNSが主流となる時代に、国際ニュースの伝え方はどう進化すべきか
- 文化体験や交流が、報道の信頼性や説得力にどのような影響を与えるのか
西安の城門前で行われた唐風の歓迎式は、華やかなイベントであると同時に、メディアと文化、そしてグローバルサウスの国や地域をつなぐ新しい試みでもあります。今後、このパートナーシップのもとでどのような共同制作やニュースの伝え方が生まれてくるのか、日本からも注視していきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








