中国・全国運動会がGBAの一体化を後押し 香港・マカオと初の共同開催
広東省、香港、マカオが共同で開催した中国第15回全国運動会が、地域をまたぐスポーツ大会を通じて粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)の一体化と往来の円滑化を後押ししています。大会組織委員会の担当者は、通関手続きや越境レースなど、これまでにない試みが進んでいると説明しました。
初のマルチ地域開催となった第15回全国運動会
中国第15回全国運動会は、11月9日から21日までの日程で行われ、中国本土(中国)の広東省と香港、マカオが初めて共同でホストを務めました。中国を代表する総合スポーツ大会が複数の地域で同時開催されるのは今回が初めてです。また、香港とマカオで全国運動会の競技が実施されるのも初の試みです。
大会組織委員会の李静氏は、今回の取り組みについて「前例がないため、原則を守りつつ、大胆なイノベーションが求められる」と述べ、従来の運営方式にとらわれない挑戦であることを強調しました。
人・モノ・情報をまたぐ「シームレス通関」
今回の全国運動会では、異なる制度やルールのもとにある三つの地域をまたいで、人、物資、情報がスムーズに行き来できるよう、新しい運営モデルが導入されました。キーワードはシームレスな通関です。
専用レーンや簡素化された手続き
李氏によると、大会では次のような具体策が取られました。
- 選手やスタッフの越境移動を円滑にするための専用通関レーンの設置
- 競技用器具のための簡素化された通関メカニズムの構築
- 三地域の間で緊急時の連携を強化するための協力プロトコル(手順)の整備
たとえば、中国本土(中国)の選手が使用するフェンシングのサーベルやレーシングバイク、トライアスロン用自転車などは、個人の手荷物としてチェックポイントを通過できるようになりました。これにより、競技のたびに複雑な通関手続きを行う負担が大きく軽減されたといいます。
橋とマラソンが象徴する湾区のつながり
全国運動会では、三地域を物理的につなぐ越境競技も用意されました。なかでも象徴的なのが、香港・珠海・マカオ大橋を経由して広東、香港、マカオの三地域を結ぶ男子ロードレースです。世界的にも注目されるこの長大な海上橋を舞台にした自転車レースは、湾区の一体感を視覚的に示すイベントとなりました。
さらに、深圳と香港をまたいで走るマラソンも初めて実施されました。同じ湾区の都市でありながら制度の異なる二つの地域を、ランナーが文字通り走って行き来することで、日常的な往来や経済活動のさらなる活性化をイメージさせる取り組みです。
粤港澳大湾区一体化の「実験場」としてのスポーツ
李氏は、今回の全国運動会での取り組みが、粤港澳大湾区でのより深く広い一体化に向けた貴重な示唆を与えると指摘しています。異なる制度のもとにある三つの地域が、スポーツ大会という共通の目的のために調整を重ねることで、交通、税関、危機管理などの分野で新たな連携モデルを試す機会になっているためです。
また、香港とマカオでの競技開催や越境レースは、「一国二制度」の特徴と強みを示す場として位置付けられています。共通の国家的イベントを共有しつつ、それぞれの制度や特徴を生かすことで、協調と多様性の両立を目指す構図が見えてきます。
日本にとっての示唆:スポーツがつなぐ地域と制度
日本でも、大規模なスポーツイベントはしばしば都市間連携や地域振興のきっかけになります。中国本土(中国)、香港、マカオが共同で全国規模の大会を運営する試みは、国境や制度の違いを超えて人とモノの流れをどうデザインするかという点で、アジアの他地域にも参考になる事例といえます。
スポーツ大会を単なる競技の場として見るのか、あるいは新しいインフラ運用や制度調整を試す「実験場」として活用するのか。その視点の違いが、都市や地域の未来像を変えていく可能性があります。粤港澳大湾区で進む試みを追うことは、日本の都市政策やスポーツ政策を考える上でも、今後ますます重要になっていきそうです。
Reference(s):
China's National Games boosts connectivity across GBA, say officials
cgtn.com








