北京の宇宙データセンター計画:AI計算インフラを軌道上へ
宇宙にAIデータセンター 北京が描く次世代インフラとは
北京市科学技術委員会は、北京航天未来宇宙科技院や市内の宇宙関連企業・研究機関とともに、地球周回軌道上に大規模な宇宙データセンターを建設する計画を発表しました。AI(人工知能)の計算処理を宇宙空間に持ち出す野心的な構想で、国際ニュースとしても注目されています。この方針は、両者が木曜日に開催した会合で示されたものです。
700〜800キロ上空に軌道上データセンター
今回明らかになった計画では、地球の昼夜境界線に沿って周回する近地球・朝夕軌道(高度約700〜800キロメートル)に宇宙データセンターを設置します。
このデータセンターは、1ギガワット超の電力供給能力を持つ大規模で集約型のシステムとして構成される予定です。宇宙空間での計算処理を担う宇宙ベースのコンピューティング、中継伝送、地上管制というサブシステムから成り、全体として一体的に運用されます。
システム内の各サブセンターには、合計で数百万台規模のサーバー群を収容できるクラスター(集積サーバー)が置かれる計画で、AIやビッグデータ処理を支える膨大な計算資源を備えることになります。
3段階で進む開発ロードマップ(2025〜2035年)
宇宙データセンター計画は、約10年をかけて三つのフェーズで進められます。
- 第1期(2025〜2027年):中核となる技術課題の克服と、第1期のコンピューティング・コンステレーション(計算衛星群)の打ち上げに取り組みます。
- 第2期(2028〜2030年):地上でのデータ処理と宇宙空間のコンピューティング能力を統合し、本格的な連携運用を実現することを目指します。
- 第3期(2035年まで):宇宙ベースの計算処理を本格的に支えられる、大規模な宇宙データセンターを完成させる構想です。
すでに第1世代の実験衛星の開発は完了しており、その打ち上げは2025年末から2026年初めにかけて予定されています。今後数年で、計画が具体的な軌道上インフラとして姿を現してくることになりそうです。
24機関が参加するイノベーション・コンソーシアム
計画の推進に向けて、北京では新たにイノベーション・コンソーシアム(共同体)が立ち上がりました。主導するのは北京航天未来宇宙科技院とその関連企業で、産業チェーン全体から24の機関が参加しています。
このコンソーシアムは、宇宙データセンターの建設と応用を前進させるとともに、次のような先端分野との統合を進める役割を担います。
- AI(人工知能)
- モバイル通信
- 新素材(新材料)
- 再生可能エネルギー
宇宙空間での情報処理とこれらの技術を組み合わせることで、新しい宇宙ベースの情報アプリケーションやサービスのビジネスモデルを生み出すことが狙いとされています。
商業宇宙とAIの戦略的融合
北京市科学技術委員会は、この宇宙データセンターを商業宇宙とAI技術の戦略的融合と位置づけています。北京市はプロジェクトへの支援を強化し、宇宙データセンターを軸に新たな産業チェーンを形成する方針です。
狙いは、宇宙技術とその応用を巡る商業ループ(商業サイクル)を完結させることにあります。宇宙での計算インフラ、地上のサービス、産業界のニーズを結びつけることで、北京を世界的な科学技術イノベーション拠点としてさらに押し上げたい考えです。
私たちにとっての意味:宇宙は次世代インフラの新しい舞台に
今回の北京の宇宙データセンター構想は、宇宙開発を打ち上げや観測だけでなく、情報処理やAIコンピューティングのインフラへと広げる動きと見ることができます。
地上と宇宙のコンピューティングをどのように組み合わせ、新しいサービスや産業を生み出していくのか。アジア発のこうした試みは、今後の国際ニュースやテクノロジー動向を読み解くうえで、押さえておきたいトピックになりそうです。
Reference(s):
Beijing to bring AI computing to space with new data center plan
cgtn.com








