国連安保理で中国が「共通の安全保障」を提唱 多国間主義を強調
国連安全保障理事会で今週月曜日、中国の傅聡(フー・ツォン)国連常駐代表が、多国間主義の実践と「共通の安全保障」の追求を国際社会に呼びかけました。地政学的な緊張や紛争が続くなか、そのメッセージは2025年の世界の安全保障議論にどのような含意を持つのでしょうか。
国連安保理で強調された「共通の安全保障」
傅聡大使は、欧州安全保障協力機構(OSCE)の議長が報告を行った安全保障理事会のブリーフィングで発言しました。現在の世界の安全保障環境について、地政学的対立の激化、各地で頻発する紛争の火種、一方的な行動や保護主義の台頭、そして伝統的・非伝統的なさまざまな脅威が複雑に絡み合っていると指摘しました。
こうした状況のなかで、国連とOSCEを含む地域機構が協力をさらに強化し、国際の平和と安全の維持に「しかるべき貢献」を行うことが重要だと述べました。
ビジョンとしての「共通・包括的・協力的・持続可能な安全保障」
傅大使は、今のような環境だからこそ、国際社会が「共通で、包括的で、協力的かつ持続可能な安全保障」のビジョンを掲げる必要があると強調しました。これは特定の国の安全ではなく、すべての国・地域の安全を視野に入れた考え方です。
そのうえで、世界の安全保障ガバナンスを前に進め、「普遍的で共通の安全」を実現するよう努めるべきだと呼びかけました。安全保障をゼロサムの争いではなく、協力によって拡大できる公共財としてとらえる発想がにじみます。
「真の多国間主義」と国連憲章
傅大使は、国際社会が「真の多国間主義」を実践すべきだとも訴えました。その柱として挙げたのが、国連憲章の目的と原則の順守、そして国連を中心とする国際システムを断固として支持する姿勢です。
多国間主義はしばしばスローガンとして語られがちですが、ここでは具体的に、国連という枠組みを通じて課題に向き合うことが重視されています。安全保障理事会という場での発言は、国連中心の秩序を支える重要性を改めて示すものと言えます。
対立ではなく対話を――冷戦思考の否定
さらに傅大使は、国際社会に対し、対話と協議を支持し、冷戦思考や陣営対立をともに拒否するよう呼びかけました。紛争当事者のニーズと意思に基づき、和平交渉や仲介を進めることの重要性を強調し、当事者が信頼を築き、対話を通じて紛争を処理し、安全を促進するよう促しました。
安全保障をめぐって陣営が分かれ、相手の脅威を前提に軍事・経済面で圧力を掛け合う発想は、冷戦期の構図を想起させます。傅大使の発言は、そうした構図から距離を取り、対話と協力を優先すべきだというメッセージとして受け止められます。
焦点となったウクライナ情勢
今回の安保理会合では、多くの理事国がウクライナ情勢に言及しました。傅大使は、中国の立場は一貫して明確だと述べ、「対話と交渉こそがウクライナ危機を解決する唯一の実行可能な道だ」と強調しました。
また、中国として、関係国がそれぞれの役割を果たし、「バランスが取れ、効果的で、持続的な欧州の安全保障枠組み」の構築に向けて取り組むことを後押ししたいとの考えも示しました。単に一時的な停戦ではなく、長期的に機能する安全保障の仕組みづくりが課題として意識されていることがうかがえます。
OSCEとの連携が持つ意味
今回の発言は、OSCE議長による報告を受けた安保理のブリーフィングという文脈で行われました。欧州の安全保障を扱う地域機構と国連安保理との連携は、地域レベルとグローバルレベルの安全保障ガバナンスをつなぐ重要な接点です。
傅大使が国連と地域機構の協力強化を繰り返し訴えたことは、特定地域の問題が他地域や世界全体の安定と密接に結びついている現状を踏まえた発信と見ることもできます。
2025年の安全保障議論への示唆
世界の安全保障環境が揺らぐなか、「共通の安全」「真の多国間主義」「対話と交渉の重視」といったキーワードは、今後も国連や各地域機構での議論の軸の一つになっていきそうです。
安全保障をめぐる議論は、軍事力や同盟関係だけではなく、国際機関の役割、地域協力のあり方、そして紛争当事者同士の対話の方法を含めた、より広い視野で考えざるを得なくなっています。傅大使の発言は、そのような流れの中で、ルールと対話に立脚した安全保障のあり方を改めて問いかけるものとなっています。
Reference(s):
cgtn.com



