南京大学、非光合成植生を中国本土全域で高精度マッピング 炭素循環の鍵に
南京大学の研究チームが、高精度のリモートセンシング(衛星などによる遠隔観測)解析手法を用い、中国本土の陸域における「非光合成植生(Non-photosynthetic vegetation)」の最大被覆率について、時空間分布を初めて全国スケールで可視化したと発表しました。気候変動の議論で注目される炭素循環を、より現実に近い形で捉える一歩になりそうです。
「非光合成植生」とは何か——“緑ではない植生”の存在
非光合成植生とは、枯れ草、落ち葉、立ち枯れなど、光合成をしていない植物由来の素材を指します。衛星画像では、一般に“緑の植生”の指標が使われることが多い一方で、非光合成植生は地表面の状態や季節変化を反映しつつも、見分けが難しい対象でした。
研究のポイント:全国規模で「最大被覆率」を時空間で推定
研究チームは、高精度のリモートセンシング・インバージョン(観測データから地表の状態を推定する解析枠組み)を開発し、中国本土の陸域における非光合成植生の最大被覆率について、空間分布だけでなく時間変化も含めて地図化しました。
- 対象:中国本土の陸域
- 成果:非光合成植生の最大被覆率の時空間分布を全国規模で提示
- 手法:高精度リモートセンシング解析(インバージョン)フレームワーク
新提案:陸域生態系の「炭素交換フラックス指数」
さらに研究チームは、陸域生態系における炭素のやり取り(炭素交換フラックス)を捉えるための新しい指数を提案しました。これにより、非光合成植生が気候の勾配(例:気温や降水などの条件差)にどう反応するかが示され、炭素循環の中で中心的な役割を持つことが強調されたといいます。
なぜ今、この地図が重要なのか
2025年末のいま、温室効果ガスの算定や自然由来の吸収・放出の推計は、政策から企業開示、研究まで幅広く関心が高まっています。非光合成植生は「緑の指標」だけでは捉えにくい地表の実態を含むため、今回のような全国規模の可視化は、次のような場面で基礎情報になり得ます。
- 炭素循環の理解:生態系が炭素を吸う/吐く動きの把握精度を上げる
- 気候との関係:乾湿や寒暖の違いに応じた植生状態の読み解き
- モデル改善:陸域プロセスを扱う推計・シミュレーションの入力情報に
静かな論点:私たちは「緑」だけを見ていなかったか
植生というと、つい“よく育った緑”に目が向きがちです。一方で、枯れ草や落ち葉のような非光合成植生は、目立たないまま地表のエネルギー収支や土壌、そして炭素循環に関わってきました。今回の研究は、その見落とされやすい層を、全国レベルのデータとして扱える可能性を示した点で、今後の議論の土台になりそうです。
Reference(s):
Chinese scientists map non-photosynthetic vegetation nationwide
cgtn.com








