海南自由貿易港でCCUS前進、CNPC澄邁のCO2回収・液化設備が稼働
中国本土・海南省の海南自由貿易港(FTP)で、二酸化炭素(CO2)を回収して液化する設備が稼働し、低炭素化に向けたCCUS(回収・利用・貯留)の産業化が一段進みました。
何が起きたのか:澄邁でCO2回収・液化が稼働
中国石油天然気集団(CNPC)によると、海南省澄邁県の油田関連施設で、随伴ガス(油田で原油とともに産出するガス)に含まれるCO2を回収し、精製・液化する設備が稼働を開始し、現在は安定運転しているといいます。
海南自由貿易港が掲げる「グリーン・低炭素」路線の中で、技術の実装(研究段階から現場で使える形へ)を進める節目として位置づけられています。
CCUSとは:排出を「出さない」ではなく「扱う」技術
CCUSは、工場やエネルギー設備などから出るCO2を回収(Capture)し、用途に応じて利用(Utilization)したり、地中などに貯留(Storage)したりする一連の仕組みです。発電・製造の全てを一気に置き換えるのが難しい分野では、移行期の排出削減策として議論されることが多い技術です。
今回のポイント:液化で運びやすく、貯留の運用も視野
CNPCによれば、この設備は回収したCO2を「液体」にまで加工します。液化は、体積を小さくして取り扱いや輸送をしやすくするための工程で、利用先や貯留先の運用設計に自由度が出やすいのが特徴です。
また同社は、回収プロセスの継続的な最適化や監視システムの整備を通じて、CO2の長期安定貯留につながる運用を進めているとしています。
数字で見る:100トン/日、累計36万トンの貯留実験
- 液化CO2の生産量:現在、1日あたり100トン超(CNPC)
- これまでの貯留実験の累計:36万トン(CNPC)
- 同時に増産した油・ガス:15万トン(CNPC)
CNPCは、36万トンのCO2貯留は「年間15万台分の自動車排出量の相殺に相当する」とも説明しています(同社推計)。
なぜ今重要か:低炭素とエネルギーの“両立設計”が試される
海南自由貿易港は、観光・物流だけでなく、制度面や産業構造を含めた「環境負荷の小さい成長モデル」を打ち出してきました。今回のように、現場で安定稼働するCCUSの設備が積み上がると、排出削減の選択肢が「計画」から「運用」へ移り、エネルギーシステム全体の設計議論が具体化しやすくなります。
一方で、CCUSは回収後のCO2をどう扱うか(利用先の確保、貯留の監視、コスト)で評価が分かれやすい分野でもあります。液化設備の稼働は、その後段の運用を含めた“長いサプライチェーン”づくりのスタート地点とも言えそうです。
今後の焦点:監視、コスト、適用範囲の拡大
CNPCは、監視システムの整備とプロセス最適化を進めているとしています。今後の注目点は、運転の長期安定性に加え、どの産業・どの排出源に広げられるか、そして回収・液化・輸送・貯留までを含めた全体コストがどう下がっていくかです。CCUSは単体技術というより、インフラとして育つかどうかが問われます。
Reference(s):
Hainan Free Trade Port makes strides in carbon capture, liquefaction
cgtn.com








