中国本土、医薬品管理規則を改正 創薬促進とオンライン販売監督を強化
中国本土で医薬品の「イノベーション促進」と「安全管理の強化」を同時に進める制度改正が動きました。中国当局は27日(火)、医薬品管理に関する規則改正を公表し、2026年5月15日に施行予定だとしています。
何が決まった?改正の全体像
今回の対象は、薬の製造から販売、使用、監督までを幅広く定める「薬事法(薬品管理法)」の施行規則(実施細則にあたる規則)です。中国首相の李強氏が国務院の政令に署名し、公布されました。
改正後の規則は全9章・89条で構成され、次の3点が大きな柱として示されています。
- 創薬(新薬開発)を後押しする審査・登録制度の見直し
- オンラインでの医薬品販売を含む流通管理の強化
- 医薬品の安全監督(検査・サンプリング等)と法的責任の明確化
焦点は「研究・登録」:臨床価値を軸に、迅速審査も
改正の中核は、医薬品の研究・登録(承認に向けた手続き)に関する仕組みです。規則は「臨床価値(患者にとっての有用性)」を重視する開発を打ち出し、新薬の臨床での応用や使用を支える考え方を明確にしました。
具体的には、以下の点が整理・拡充されたとされています。
- 臨床試験(治験)の管理要件の精緻化
- 医薬品の販売承認に向けた迅速審査ルートの導入
- 再登録(更新)手続きの明確化
- 処方薬と一般用医薬品(OTC)の切り替え手続きの明確化
「独占」と「データ保護」:小児・希少疾患薬を後押し
イノベーション促進のためのインセンティブとして、規則は次の措置を盛り込みました。
- 一定の要件を満たす小児用医薬品および希少疾患向け医薬品に市場独占(一定期間の独占的取扱い)を付与
- 新規化学物質を含む医薬品に対するデータ保護を規定
開発コストや期間が大きくなりがちな領域で、制度面から投資判断を支える狙いが読み取れます。
製造も引き締め:漢方の煎じ薬・顆粒の管理も明確化
改正規則は、医薬品製造の管理も「より厳格にする」としています。あわせて、中薬(伝統中国医学)の煎じ薬用の飲片(刻み生薬)や顆粒についても、製造・販売に関する管理要件を明確化したとされます。
オンライン販売の監督強化:ECプラットフォームの責任を拡大
流通・使用の分野では、オンラインでの医薬品販売に対する監督を強化し、第三者の電子商取引(EC)プラットフォーム運営者の責任をより重く位置づけました。
医薬品の購入行動がオンラインに移るほど、利便性と同時に、品質・表示・取り扱い(保管や配送など)をどう担保するかが課題になります。今回の改正は、そうした“販売の場”の変化を制度側が追いかける形とも言えそうです。
安全監督は「検査・再検査・責任」を明文化
医薬品の安全監督については、検査措置を具体化し、品質のサンプリング(抜き取り)や試験(テスト)の手続きを詳細化しました。さらに、検査結果に異議がある場合に再検査を求められる仕組みも盛り込み、違反に対しては厳格な法的責任を課すとしています。
小児向け製剤の開発も支援:医療機関へのサポート
規則は、医療機関に対して小児のニーズに合う製剤(小児用製剤)開発を後押しする支援も明記しました。小児は投与量や剤形(飲みやすさ等)の設計が重要になりやすく、制度の後押しが現場の選択肢にどう反映されるかが注目点です。
施行は2026年5月15日:今後の見どころ
今回の改正規則は、2026年5月15日に施行予定とされています。今後の焦点は、迅速審査や独占・データ保護といった「促進策」が、オンライン販売の監督強化や製造管理の引き締めとどう噛み合い、現場(企業、医療機関、流通、プラットフォーム)でどのように運用されるかです。
“薬を早く届ける”と“安全を守る”は、どちらか一方では成立しにくいテーマでもあります。制度の設計が、スピードと信頼の両立にどこまで近づけるのか。施行までの具体運用の提示にも関心が集まりそうです。
Reference(s):
China revises drug administration regulations to spur innovation
cgtn.com








