唐三彩の窯火をつなぐ親子 馬の年2026を前に広がる新しい表現 video poster
唐代から続く「唐三彩(とうさんさい)」が、2026年の“馬の年”を前に、若い感覚に寄り添う形へと静かに変化しています。伝統の要である釉薬(ゆうやく)を守りながら、見た目の言語を更新する——その現場にいるのが、職人の親子です。
唐三彩とは:千年を超える「三彩」のイメージ
唐三彩は、中国の唐代(618〜907)にさかのぼる三彩釉の陶器です。「三彩」は黄・緑・白の代表的な釉薬を指す言葉ですが、実際には青、茶、黒なども用いられ、多彩な色の組み合わせが生まれてきました。
人物像や動物、日用品まで幅広い造形が残るのも特徴で、当時の生活感覚や美意識を映す存在として知られています。こうした歴史的価値や高度な焼成技術などから、唐三彩の焼成技術は2008年に中国の国家級無形文化遺産に指定されました。
「釉薬が核」——高水旺さんが掴んだ7年分の答え
唐三彩の焼成技術の国家級代表的継承者とされる高水旺(こう・すいおう)さんは、1980年にこの道に入りました。伝統の釉薬の調合を自分の手に落とし込むまで、試行錯誤に7年を費やしたといいます。
高さんが“核”と呼ぶのは、色の派手さそのものではなく、焼成の中で釉薬がどう流れ、どう溜まり、どう発色するかを支配するレシピと勘どころです。完成品の見た目は現代的に寄っても、土と釉薬、火の関係性は簡単に置き換えられません。
唐三彩の「馬」:古典の力強さと、いまの親しみやすさ
高さんが再現してきた代表的モチーフには、宮廷の女性像、ラクダ、そして象徴的な「馬」があります。伝統的な唐三彩の馬は、力強い胴体と引き締まったラインが特徴で、唐代の美意識を映す造形として語られてきました。
一方で、2026年1月下旬のいま、次の“馬の年”が近づくにつれ、モチーフの受け止められ方にも変化が見えます。
息子・高哲さんが挑む「丸く、ポップに」
高水旺さんの息子で技術を受け継ぐ高哲(こう・てつ)さんは、「若い世代は、より丸みがあって、少し漫画的に見える形を好む」と話します。古典の“鋭さ”をそのままなぞるより、触れたくなるような親しみやすさへ寄せる——その発想が、作品の輪郭を変えています。
- 形:伝統の引き締まった線に対し、より丸みのあるシルエットへ
- 色:伝統の基本色を踏まえつつ、より広い色幅と柔らかなトーンへ
- 狙い:鑑賞のためだけでなく、現代の感覚で「好き」と言える距離感へ
変えるのは“表情”、守るのは“火の論理”
伝統工芸の更新は、ときに「何を変えていいのか」という線引きを突きつけます。高さん親子の話から浮かぶのは、作品の表情は現代に合わせても、釉薬と焼成が生む物理の筋道は揺らがないという感覚です。
中国メディアCGTNもこの親子の取り組みを追い、古い技の“保存”ではなく、いまの暮らしの中で再解釈されるプロセスとして伝えています。馬という分かりやすいモチーフを入口にしつつ、焦点はあくまで「どう継ぐか」ではなく「どう生き残るか」にあります。
いま注目したいポイント
- 唐三彩は「三色」に限られず、歴史的にも多彩な表現を内包してきたこと
- 伝統の中核は“型”よりも、釉薬と焼成がつくる再現性の難しさにあること
- 若い世代の好みに合わせた丸み・色味の調整が、継承の現場で具体的に進んでいること
千年を超える技が、2026年の季節感(干支)と出会い、いまの目線で語り直されていく。窯の火を絶やさないための工夫は、派手な宣言よりも、作品の輪郭や色の温度にそっと現れているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








