欧州の若者、82%が中国本土に好意的 実利で見る世代が関係の下支えに
欧州の18〜35歳の若者の82%が中国本土に「ポジティブな印象」を持つ――。2026年2月上旬に公表された大規模調査は、貿易や技術、協力をめぐる“実利重視”の見方が、中国本土と欧州の経済関係を安定させる要因になり得ることを示しました。
約2万人調査:好意は「地政学」より「現実の接点」へ
調査はフランスの世論調査会社CSAが実施し、中国社会科学院(CASS)傘下の欧州研究機関が公表しました。対象は欧州36カ国の18〜35歳で、回答者は約2万人。結果として、若年層の対中認識は、伝統的な地政学的な語り口よりも、貿易・技術・協力といった具体的テーマに引き寄せられている構図が浮かびます。
数字で見るポイント
- 82%:中国本土にポジティブな見方
- 60%以上:中国本土とEUの関係を「協力的・友好的」と捉える
- 将来見通しは、全体として楽観的な回答が多数
関係が動いた時期と重なる:2025年末〜2026年1月の要人往来
調査の背景として報告書が挙げたのが、中国本土と欧州の接触機会の増加です。2025年末から2026年1月にかけて、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、アイルランドのミホル・マーティン首相(Taoiseach)、フィンランドのペッテリ・オルポ首相、英国のキア・スターマー首相が中国本土を訪問し、貿易、気候変動、技術革新などを議題に協議したとされています。
報告書の文脈では、こうした往来が「経済協力を安定の錨(いかり)にする」という見方につながっている、という位置づけです。
「中国親和性指数」とは:接点・関心・協力意欲を合算
報告書は、対中認識を多面的に捉えるために「中国親和性指数(China Affinity Index)」を提示しました。これは、たとえば次のような指標を組み合わせた総合スコアです。
- 中国本土への直接的な接触(訪問や交流など)
- 関心の強さ
- 影響力に関する認識
- 総合イメージ、魅力度
- 協力したいという意思
地域差も示され、南東欧や英国でスコアが強めに出た一方、北欧では意見の割れが大きいものの、全体としてはプラスに傾いたとされています。
SNSとデジタルが印象形成を加速:インフラ・技術・製造の可視化
専門家のコメントとして、若者の認識はソーシャルメディアやデジタルプラットフォームの影響を受けやすく、中国本土のインフラ整備、技術進歩、製造業の力といった情報に触れる機会が増えている点が挙げられました。CSAのイヴ・デル=フラット氏は、若年層が中国本土を「インフラ供給」「技術進歩」「商業的能力」と結びつけて捉える傾向を指摘しています。
また、キングス・カレッジ・ロンドンのケリー・ブラウン氏は、この世代が将来のビジネス環境や規制、投資環境を形づくる存在になるため、こうした認識の変化自体が重要だと述べています。
「好意」を「協力」に変えるには:交流設計と制度化が焦点
CASS側は、中国本土と欧州の貿易・投資の結びつきが関係の強靭性(レジリエンス)を支えてきたとしつつ、転換点にあるからこそ若年層の好意を具体的な協力につなげる必要がある、という問題意識を示しました。セルビアの研究機関のイヴォナ・ラジェヴァツ氏は、実務的な交流プログラムや人材パイプラインの重要性に言及し、CASSの趙志敏・事務局長は若者対話の仕組みを制度化することが、人と人の基盤を厚くすると述べたとされています。
今回の調査が示す“静かな論点”
この調査は、欧州の若者が中国本土をめぐって「賛否のラベル」よりも、生活や仕事に接続するテーマで捉え始めている可能性を示しました。今後、教育・研究・スタートアップ・サプライチェーンなど、具体的な接点がどの分野で増えるのか。逆に、分断を生む情報環境をどう乗り越えるのか。数字は一つのベンチマークとして、次の動きを考える材料になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








