国連、AI独立科学パネル40人を任命 中国の研究者2人も選出
国連総会は2026年2月12日、人工知能(AI)に関する「独立国際科学パネル」のメンバー40人を任命しました。任期は同日から2029年2月11日までの3年間で、AIの機会とリスク、社会への影響について、国連内で独立・中立の評価を行う役割を担います。
今回の任命で何が動くのか
AIをめぐっては、技術開発が急速に進む一方で、国や地域によって研究力・規制整備・産業実装のスピードに差があるのが現状です。国連は今回のパネルを通じて、科学的知見にもとづく共通理解を広げ、各加盟国が同じ土俵で議論しやすい環境を整える狙いがあります。
パネルの位置づけ:国連の中で「個人資格」で活動
国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は声明で、今回の任命が「AIに関する世界的な科学的理解に向けた基礎的な一歩」だと述べました。パネルのメンバーは国や組織の代表ではなく、個人資格で参加し、AIの機会・リスク・影響に関する独立した評価を提供します。
パネルが扱うテーマ(国連の説明にもとづく要点)
- AIがもたらす機会(社会課題の解決、産業の高度化など)
- AIのリスク(安全性、悪用、偏り・差別の助長など)
- AIが社会・経済に与える影響
- AIガバナンスの「グローバル対話」への貢献
2,600人超から40人へ:選考プロセスのポイント
国連によると、候補者は2,600人以上にのぼり、国際電気通信連合(ITU)、国連デジタル・新興技術局、ユネスコ(UNESCO)が関与する独立審査を経て選ばれました。地理的多様性とジェンダーバランスも考慮されたとされています。
中国の研究者2人が選出:どんな人物か
今回選ばれた40人の中には、中国の研究者2人が含まれます。
宋海涛(Song Haitao)氏:上海のAI研究開発を牽引
公表情報によれば、宋氏(1986年生まれ)は中国本土・上海の「上海人工知能研究院」の院長で、上海初の新しい形のAI研究開発機関の立ち上げを主導した人物とされています。発明分野では「ジュネーブ国際発明展」で金賞を受賞した経歴も紹介されています。
王堅(Wang Jian)氏:クラウド計算の第一人者
王氏(1962年生まれ)は中国工程院の院士で、クラウド計算(クラウドコンピューティング)の分野で著名な専門家とされています。アリババクラウドの創設者としても知られ、データ中心の分散型クラウド計算アーキテクチャを切り拓いたほか、「計算を公共サービスとして提供する」というモデルを早期に提案したとされています。
「速いAI」と「遅いルール」の間で、科学が果たす役割
AIをめぐる国際議論では、ルールや評価の枠組みが技術進化の速度に追いつきにくいという課題が語られてきました。今回の科学パネルは、政治的な賛否の前提を置くのではなく、検証可能な知見を積み上げることで、加盟国が議論を始めるための共通言語を提供する存在になりそうです。
今後3年間で、どのような評価項目が示され、どの論点が優先されるのか。AIガバナンスの議論の「土台づくり」が、国連の枠内でどこまで進むかが注目されます。
Reference(s):
UN appoints AI scientific panel members, 2 Chinese scientists selected
cgtn.com








