2026年春節ガラ、生成AIとXRで“現実×想像”の没入舞台へ――CMGの制作刷新
2026年の中国メディアグループ(CMG)春節ガラ(春節聯歓晩会)は、目を引くカンフー風のロボット演出だけでなく、制作の根っこを支えるテクノロジーが大きく更新されました。AI、クロススクリーン(複数端末連動)、そしてVR・AR・XRの統合により、スタジオそのものが「現実とデジタルの想像力が交差する」没入型ステージへと変わった形です。
今年の春節ガラで起きた「3つの技術アップグレード」
CMGは今回、番組全体の体験を組み替えるような技術導入を進めました。軸になったのは次の3点です。
- 人工知能(AI):映像生成や空間演出など、制作工程そのものを押し上げる役割
- クロススクリーンのインタラクティブ性:画面をまたいだ視聴体験の設計(複数スクリーン連動)
- VR・AR・XRの統合:現実の舞台とデジタル表現を一体化し、没入感を強める
これにより、スタジオは“背景”ではなく、リアルとデジタルが重なり合う「体験の場」として再設計された、という位置づけです。CMGは、身体性を伴う知能(エンボディド・インテリジェンス)や、科学技術イノベーション産業の可能性にも言及しています。
生成AIが「コンテンツ制作の駆動力」に:演目「花神への賛歌」の例
象徴的な例として挙げられたのが、演目「『花神への賛歌(Ode to the Flower Deities)』」です。ここでは、AI生成画像とステージ上のライブ投影(プロジェクション)を組み合わせ、古代の季節のシンボル、歴史上の人物、そして中国の伝統思想を一つの視覚体験として編み込みました。
制作面では、AIによる空間拡張技術が4K映像制作のほぼ全体を担ったとされます。具体的には、
- 花びらがスタジオ全体に舞い広がるような表現
- 季節の移ろいが“その場で”切り替わるような演出
- 動くカメラのショットに合わせて、花の成長や遠近(パース)を精密に制御する表現
といった要素を、ライブの舞台と矛盾しない形で成立させた、という点がポイントです。生成AIが単なる「映像の小道具」ではなく、演出の骨格に入り込む段階に来ていることを示す事例とも言えます。
“すごい映像”の先:制作現場と視聴体験はどう変わるのか
今回の技術導入は、見た目の派手さだけでなく、制作思想の変化を含んでいます。たとえば、リアルの舞台に合わせてデジタル要素を追従・調整する発想は、演者・カメラ・照明・CGの境界を薄くしていきます。
一方で、クロススクリーンや没入型(VR/AR/XR)を前提にすると、視聴者側の体験も「放送を見る」から「体験に参加する」へ寄っていく可能性があります。春節ガラのような大型番組でこの方向性が示されることは、今後のライブエンタメや放送制作にとって、ひとつの参照点になりそうです。
伝統表現×先端技術が投げかける、静かな問い
伝統的な題材(季節の象徴、歴史、哲学)をAIと投影で再構成する試みは、表現の幅を広げる一方で、創作の主体や制作プロセスの透明性など、見えにくい論点も同時に連れてきます。
ただ、確かなのは、2026年のCMG春節ガラが「ロボットの登場」にとどまらず、AIとXRを制作の中核に置く方向へ踏み込んだ、という事実です。次に同じ技術がスポーツ中継、音楽ライブ、教育番組へ広がるとき、私たちは画面の向こう側をどう“現実”として受け取るのか――その感覚も少しずつ更新されていくのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








