Insta360とGoProの特許争い、米ITC判断で「販売継続」へ:勝敗を分けた争点は?
米国の店頭でInsta360のアクションカメラが買えなくなるのか——。そんな不安に対し、結論は「少なくとも現行製品は売り続けられる」と読める内容でした。長期化していたGoProとInsta360の争いは、米国際貿易委員会(ITC)の最終判断で決着し、販売面で重要なポイントはInsta360が押さえた形です。
何が争われた?「見た目」と「中身」の2本立て
今回の争点は大きく2つでした。
- 見た目(デザイン特許):GoProのHero系カメラの象徴的な形状
- 中身(実用特許):手ブレ補正、水平維持、広角の歪み補正など、現代のアクションカメラを支えるソフトウェア機能
両社とも発表上は「勝利」を強調していますが、消費者にとっての影響は、この2本のうちどちらが“販売継続”に直結するかで見え方が変わります。
最大のポイント:GoProの実用特許5件でInsta360が全面クリア
GoProは当初、Insta360に対して実用特許を5件主張していました。対象は単なる筐体形状ではなく、デジタル手ブレ補正や水平維持、広角映像の歪み処理など「撮れる映像の品質」を左右する中核部分です。
しかしITCの最終判断は、これら技術面の主張についてInsta360をすべて非侵害としました。判断の筋道としては、Insta360が別技術を用いている、あるいはGoPro側の特許が無効である、という整理です。
これにより、Insta360の「HyperFlow」「FlowState」とされる手ブレ補正・ソフト処理は、独自に開発されたものだと確認された形になります。レビューで高評価とされる技術が、法的にも“中身は別物”と位置づけられた点は、競争の焦点を「法廷」から「製品改良」へ戻す材料になりそうです。
GoProが取った1勝:ただし“旧デザイン”に限られる可能性
一方でGoProは、デザイン特許(Heroの形状)については一部主張が認められました。これにより、侵害品の輸入を止める排除命令(exclusion order)が出る、という構図になります。
ただし今回の判断には重要な「但し書き」があります。ITCはInsta360の再設計後の製品(店頭や倉庫にある現行品)については、当該デザイン特許を侵害しないとも判断しました。
つまり、排除命令の射程は旧デザインの一部製品にとどまり、Insta360がすでに移行済みの現行ラインアップを直撃しにくい、という見え方になります。
結局、買う側には何が変わる?
購入検討者にとっての実務的な結論はシンプルです。Insta360は、現行ラインアップは米国で制限なく販売を継続すると確認しています。
GoPro創業者のNicholas Woodman氏は、今回の判断を「ブランドの視覚的アイデンティティを守る」ものだと位置づけています。他方でInsta360創業者のLiu "JK" Jingkang氏は、事実関係が示され、業界は訴訟よりも製品で形づくられるべきだ、と述べています。
結果として、GoProは“形”で一定の成果を得た一方、Insta360は“中身”を守り、そして何より米国市場で売り続ける権利を確保した——。小型(200グラム未満のことも多い)カメラの進化は、しばらくは法廷よりも、両社の次のアップデートで競われていくのかもしれません。
Reference(s):
Insta360 defeats GoPro patent claims, securing place in U.S. stores
cgtn.com








