砂漠化を逆転させた中国の「砂の管理」 逆境をチャンスに変える発想 video poster
かつて木々が枯れ、砂が一面を覆っていた中国の大地。その国がいま、土地の劣化中立性を達成した最初の国とされています。この国際ニュースの背景には、砂漠化という逆境を「砂の管理」という発想で乗り越えようとした長い歩みがあります。
砂に覆われた大地からの出発点
木々が立ち枯れ、見渡す限り砂だらけ――中国にとって、かつてこうした風景は決して珍しいものではありませんでした。砂漠化は国土や生活、経済に大きな影響を与え、中国は世界の中でも深刻な影響を受ける国の一つとされてきました。
砂が風で運ばれ、農地や集落を覆い尽くす。木を植えても根付かず、再び砂に飲み込まれてしまう。こうした負の循環を断ち切ることは、長く難しい課題でした。
土地の劣化中立性というゴール
そうした中国が今では、土地の劣化中立性を達成した最初の国になったとされています。土地の劣化中立性とは、簡単に言えば「失われる土地」と「回復する土地」のバランスをとり、全体としてこれ以上悪化させない状態を維持する考え方です。
新たに土地が劣化しても、どこかで回復させる。荒れた土地を再生させることで、トータルではマイナスを出さない。この発想に立つことで、砂漠化対策は単なる被害の抑え込みから、より積極的な再生と管理のフェーズへと移っていきます。
鍵となった「砂の管理」という発想
中国の砂漠化対策の変化を象徴する場所の一つが、ウランブフ砂漠です。CGTNのオピニオン編集者である黄季源(Huang Jiyuan)氏は、中国の砂漠対策の成功の背景を探るため、この砂漠を訪れました。
現地取材から見えてくるのは、「砂と闘う」のではなく「砂を管理する」という考え方です。砂を完全になくすのではなく、その動きをコントロールし、人の生活やインフラ、土地利用とのバランスを取ろうとする発想です。
そこには次のような要素が重なっていると考えられます。
- 長期的な視野に立った取り組みの継続
- 砂や植生の変化を踏まえた、より科学的な対策
- 現地の人々が参加し、生活と結びついた仕組みづくり
こうした積み重ねが、「逆境をチャンスに変える」物語を形づくっています。
砂を敵ではなく「扱う対象」と見る
砂漠化対策というと、砂を防ぎ、止めるイメージが強くなりがちです。しかし中国の経験が示しているのは、砂を一方的な「敵」として扱うだけでは、持続的な解決にはつながらないということです。
砂の流れを読み、その動きを管理することで、人の暮らしを守りつつ土地を再生する。そのプロセスで、植生の回復や土地利用の見直しが進み、結果として土地の劣化中立性というゴールに近づいていきます。
中国の経験から私たちが学べること
砂漠化や土地の劣化は、中国だけでなく多くの国や地域が直面する課題です。中国の砂の管理の経験は、世界の読者に少なくとも次のような問いを投げかけています。
- 環境対策の目標を「被害の抑制」から「中立性の達成」へ引き上げると、政策の設計はどう変わるのか。
- 自然を完全に制御しようとするのではなく、「管理しながら共存する」発想はどこまで可能なのか。
- 環境対策を、地域の暮らしや将来の機会とどう結びつけていけるのか。
2025年の今も、気候変動や土地の劣化は世界各地で続いています。砂に覆われた大地から土地の劣化中立性へと歩みを進めた中国の物語は、「危機の大きさ」だけでなく、「転換の可能性」にも目を向けるきっかけを与えてくれます。
ウランブフ砂漠を訪れた一人の編集者の視点を通して見えるのは、砂という厳しい自然条件と向き合いながらも、それを管理し、生かそうとする試みです。その静かな変化を追いかけることは、これからの国際ニュースを読み解くうえでも、重要なヒントになりそうです。
Reference(s):
Managing the sand: A story of turning adversity into opportunity
cgtn.com








