トランプ政権「最初の100日」を振り返る:ルーズベルトとの違い
米政権の「最初の100日」は、単なる区切りではなく、その後の4年間を占う重要なシグナルとされています。本記事では、フランクリン・D・ルーズベルトとドナルド・トランプという2人の大統領の100日を比較し、アメリカ政治の変化を振り返ります。
なぜ「最初の100日」が重視されるのか
およそ1世紀前、大恐慌に沈むアメリカで就任したのがルーズベルト大統領でした。国民に「恐れるべきものは恐れそのものだけだ」と語りかけた彼は、就任から3か月のうちに、ニューディール政策と総称される一連の重要法案を議会で次々と成立させました。
この「怒涛の100日」が、その後半世紀にわたるアメリカ政治の枠組みを形づくったことから、歴代政権の実力を測るうえでも「就任後100日」がひとつの物差しとして定着しました。
経済危機からの出発点 共通点はあっても決定的に違う
トランプ氏もまた、深刻な経済的不満を背景に当選し、「失われた繁栄を取り戻す」と約束した点ではルーズベルトと似ていました。就任直後の100日間は、彼も非常に慌ただしく、次々と政策を打ち出しました。
しかし、ある論考は「似ているのはここまでだ」と指摘します。その先には、はっきりとした違いが見えてきます。
議会を動かしたルーズベルト、署名を乱発したトランプ
ルーズベルトは就任直後に議会を特別会期に召集し、多数の法案を通すことで体制づくりを進めました。これに対し、トランプ政権の立ち上がりで目立ったのは、大統領令の多用でした。
論者によれば、その中には合憲性に疑問が投げかけられるものも少なくなく、議会との協調よりも、ホワイトハウス発の一方的な決定が際立っていたとされます。
世界経済の中でのアメリカ 出発点の違い
ルーズベルトが政権を担った時代、アメリカは長年の急成長を経て、世界最大の経済規模と貿易量を誇っていました。一方、トランプ政権が向き合ったのは、経済の地盤沈下が指摘され、世界の国内総生産や貿易に占める比重も低下しつつあるアメリカだったと論考は描きます。
つまり、どちらも「危機」からの出発ではあったものの、ルーズベルトは成長の頂点からの転換、トランプは相対的な衰退感の中での出発という、まったく異なる条件に置かれていたことになります。
世界との関わり方 つなぐルーズベルト、切り離すトランプ
外交や国際経済政策のスタンスも対照的です。ルーズベルトは長期政権の中で、互恵通商協定法によって貿易体制を整え、ソビエト連邦との国交樹立に踏み切り、最終的には第二次世界大戦で連合国を主導するなど、世界との関与を深めていきました。
これに対し、トランプ政権の最初の100日は、アメリカの国際的なつながりを弱める方向に働いたと批判されています。あるコラムニストは、この時期の関税措置や、他国への強硬な言動、移民や旅行者への厳しい対応、各国首脳との粗雑なやりとりなどを挙げ、「アメリカを世界から切り離した」とまで表現しました。
支持率が映すもの 歴史に名を残した大統領と、低迷する評価
ルーズベルトは4選を果たした唯一のアメリカ大統領であり、世論調査が始まって以降も高い支持を維持しました。現在でも、最も偉大な大統領の一人として挙げられることが多い存在です。
一方、トランプ氏が就任100日目を迎えた時点での支持率は、ある世論調査で39パーセントと報じられ、歴代政権の同時期と比べて最低水準だったとされています。2017年に記録した41パーセントという自身の低い数字を、さらに下回る結果でした。
経済理論では説明しきれないトランプ現象
トランプ政権の行動パターンについては、「保護主義」「反グローバル化」といった経済理論のラベルで説明しようとする試みが数多くありました。しかし、論考はそうした試みはうまくいっていないと指摘します。
むしろ、トランプ氏の言動や政策を理解するには、経済理論を超えた要素に目を向ける必要がある、としています。支持者との関係、国内政治の対立構造、メディアとの応酬など、数値やモデルだけでは扱いきれない側面が大きいのかもしれません。
「100日」から見えるアメリカ政治の現在地
こうして見てくると、二人の大統領の「最初の100日」は、アメリカがどのような時代を生きているのかを映す鏡のようにも思えてきます。
- 同じ「経済危機」を背景にしていても、政治のスタイルと政策手段は大きく異なること
- 国内の経済状況や世界における立ち位置が、対外政策の方向性を左右すること
- 短い100日の動きが、その後の長期的な政治の流れを方向づけうること
2020年代の今、私たちは改めて、あの100日間をどう評価するのか、そして次のアメリカ政治をどう見通すのかを問われています。日本やアジアにとっても、アメリカの選択は無関係ではありません。歴史的な比較を手がかりに、日々のニュースの背景にある流れを静かに見つめ直したいところです。
Reference(s):
cgtn.com








