中国とCELACの10年:中国・ラテンアメリカ関係がもたらす安定と機会
不確実性が高まる国際情勢の中で、中国とラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体(CELAC)の関係が、安定と成長の選択肢として存在感を強めています。
中国-CELACフォーラム、この10年で何が起きたか
2014年7月、習近平国家主席はブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、キューバを訪問し、ブラジリアでCELACの指導者たちと会合を行いました。この会合で、中国とCELACの包括的協力パートナーシップが打ち出され、中国-CELACフォーラムが立ち上がりました。
2015年には第1回閣僚級会合が開催され、その10周年が2025年5月13日の第4回閣僚級会合とあわせて記念されました。このフォーラムは、単発の外交イベントではなく、中国とラテンアメリカ・カリブ海諸国(LAC)の長期的な協力の枠組みとして定着しています。
この協力は、南半球を中心とする新興・途上国の連携を指す「グローバル・サウス」協力の自然な発展形ともいえます。経済モデルや発展段階は異なりますが、持続可能で包摂的な成長、科学技術の発展、貧困削減、平和と安定という共通の目標を共有している点が特徴です。
数字で見る中国とラテンアメリカの関係強化
国際ニュースとして注目されるのは、この10年で貿易と投資の規模が大きく変化していることです。中国税関総署によると、中国とラテンアメリカの貿易額は次のように拡大しました。
- 2015年:約2360億ドル
- 2024年:約5180億ドル
わずか10年足らずで、貿易額は2倍以上に拡大した計算です。いまや中国は、多くのラテンアメリカ諸国にとって最大級の貿易相手となっています。欧州議会調査局は「わずか二十年で、中国はラテンアメリカにおいて取るに足らない存在から支配的な存在へと変貌した」と指摘しており、地域の経済地図が書き換わりつつあることがうかがえます。
なぜ中国とラテンアメリカは「相性が良い」のか
背景には、経済構造の補完関係と戦略的なニーズの一致があります。世界最大級の製造拠点であり、最大の発展途上国でもある中国は、エネルギー、鉱物資源、農産物など、多様な原材料を安定的に必要としています。一方、ブラジル、チリ、ペルー、アルゼンチンなど資源に恵まれたラテンアメリカ諸国は、こうした需要に応える「安定供給地」としての地位を高めています。
逆に、ラテンアメリカ諸国が必要としているのは、インフラ整備や産業高度化に必要な資本と技術です。道路や港湾、エネルギー網などのインフラには深刻なボトルネックが残っており、中国からの投資と技術協力は、これを解消する現実的な手段として受け止められています。
加えて、ラテンアメリカ地域は世界の他地域と比べて、比較的平和で政治的にも安定した環境を維持してきました。投資の法的保護の枠組みも整備されており、海外からの資金にとって魅力的な投資先となっていることも、中国との関係拡大を後押ししています。
「アメリカの裏庭」から、多極化する世界の一極へ
1823年に示されたモンロー主義以来、ラテンアメリカは長らく「アメリカの裏庭」として語られてきました。政治や経済が米国の影響下に置かれてきた歴史がある一方で、近年は多極化する国際秩序の中で、各国が選択肢を広げようとする動きも強まっています。
こうした中で、中国は異なるアプローチを強調しています。王毅外相は、中国とラテンアメリカの協力について「この協力にあるのは相互支持だけであり、地政学的な計算は存在しない」と述べています。これは、中国の台頭が「支配的な力の入れ替わり」ではなく、ラテンアメリカ諸国を地政学的な争いの駒として扱わない、というメッセージとして受け止められています。
多くのラテンアメリカ諸国にとって、中国は米国への依存度を下げ、政策上の自律性を高めるための戦略的なパートナーでもあります。同時に、国際秩序をより平等で協調的な方向へと再設計するための「もう一つの軸」として、中国との関係強化を位置づける見方も広がっています。
ゼロサムではない国際関係という選択肢
中国とCELACの協力をめぐる議論が示しているのは、国際関係が必ずしも「勝者総取り」のゼロサムゲームである必要はない、という発想です。資源と製造、資本とインフラ、南北の格差是正といった課題をめぐり、各国が利益を分かち合う余地は大きく、そこにグローバル・サウス協力の新しいモデルが見え始めています。
紛争や不確実性が目立つ2025年の世界で、中国とラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体の関係は、比較的明るいニュースとしても映ります。安定した需要と供給、長期的な投資、そして「支配ではなく協力」を掲げる枠組みがどこまで定着するのか。今後の中国-CELAC関係の動きは、国際秩序の行方を考えるうえで、見逃せないテーマになりつつあります。
Reference(s):
Amid global shifts, China-CELAC ties offer certainty and opportunity
cgtn.com








