関税不安の中でサバイブ&スライブ:中国本土の消費者とライブコマース video poster
関税をめぐる不確実性が続く中でも、中国本土の消費者は成長のエンジンとして注目されています。本記事では、犬用フードから美容製品まで、いま中国本土の消費者がどんな商品を選び、ライブ配信を軸にしたマルチチャンネルネットワーク(MCN)がその購買行動をどう支えているのかを整理します。特集「Survive and Thrive」の一環として、中国本土ビジネスが逆風下で生き残り、成長していくヒントを考えます。
関税リスクの中で浮かび上がる中国本土の消費者
ここ数年、貿易摩擦や関税をめぐる緊張が続き、世界経済には不透明感が強まっています。その一方で、中国本土の消費者は安定した需要を示し、多くの企業にとって「頼みの綱」となっています。
輸出や投資が揺れる中でも、日々の暮らしに根ざした消費は簡単には止まりません。とくにオンラインを通じた買い物は、中国本土で広く定着しており、景気の波や外部環境の変化をある程度吸収するクッションの役割を果たしています。
何を買っているのか:犬用フードから美容製品まで
では、中国本土の消費者は具体的にどのような商品を選んでいるのでしょうか。今回注目されているのは、いわゆる「生活の質」を高める商品です。その象徴的な例が、犬用フードなどのペット関連商品と、美容・セルフケア関連商品です。
ペット関連商品の存在感
犬用フードなどのペット関連商品が人気を集めている背景には、ペットを家族の一員と考えるライフスタイルの広がりがあります。ペットの健康や快適さに配慮したフードやおやつ、ケア用品などは、価格だけでなく品質や安全性が重視される分野です。
企業側にとっては、こうした商品はブランドの信頼感を築きやすく、リピーターを獲得しやすいカテゴリーでもあります。ライブ配信を通じて、原材料や製造過程、ペットへの与え方などを丁寧に説明することで、消費者の不安を和らげ、納得感のある購入につなげています。
美容・セルフケア市場の広がり
もう一つの柱が、美容製品やセルフケア関連の商品です。スキンケア、メイクアップ、ヘアケアなど、日常的に使われる商品は、景気に左右されにくい「日々の楽しみ」として位置づけられています。
ライブ配信では、インフルエンサーや専門家が実際に商品を試しながら、使用感や色味、組み合わせ方などを紹介します。視聴者はコメント機能を通じて質問を投げかけ、その場で回答を得ながら購入を検討できます。この「疑問をその場で解消できる」体験は、従来の広告や棚陳列だけでは得にくい安心感を生んでいます。
ライブ配信マルチチャンネルネットワーク(MCN)とは
こうした商品がどのように消費者へ届いているのか。そのカギとなるのが、ライブ配信を軸にしたマルチチャンネルネットワーク(MCN)です。MCNとは、複数の配信者やブランドを束ね、企画から販売までを総合的に支援する仕組みを指します。
MCNは例えば次のような役割を担います。
- 配信者やインフルエンサーの発掘・育成
- ライブ配信の企画立案や演出、配信スケジュールの管理
- 商品選定、在庫管理、物流、顧客対応など販売オペレーションの支援
犬用フードから美容製品まで、多様な商品がこの仕組みを通じて紹介されます。視聴者は、エンターテインメントとして配信を楽しみながら、気に入った商品をその場で購入できます。企業側にとっては、テレビ広告のような一方向の発信ではなく、双方向のコミュニケーションを通じて、消費者との関係を深める場にもなっています。
中国本土企業がサバイブ&スライブするための視点
特集タイトルである「Survive and Thrive(サバイブ&スライブ)」は、ただ「耐え忍ぶ」のではなく、逆風を成長のきっかけに変えていく姿勢を示しています。中国本土の企業がライブ配信とMCNを活用している背景には、次のような視点があります。
- 生活者目線での商品づくり
ペットや美容といった身近な分野に焦点を当て、日常の小さな不満や願望を丁寧に汲み取ることで、価格競争に埋もれにくい商品を生み出しています。 - チャネルの掛け算
オンラインモール、ライブ配信、SNSなど複数のチャネルを組み合わせて展開することで、消費者との接点を増やし、リスクを分散しています。 - リアルタイムな反応を生かす改善
配信中のコメントや販売データを基に、訴求ポイントや商品ラインナップを素早く見直し、次の配信や新商品の企画につなげています。
日本の読者・企業にとっての示唆
日本の消費者やビジネスパーソンにとって、中国本土の事例は「規模の違うどこか遠い話」として片づけてしまいがちです。しかし、生活者の目線に立ち、デジタルを使ってその声を素早く取り込むという発想は、規模の大小を問わず参考になり得ます。
とくに、ペットや美容のように感情や価値観が深く関わる分野では、商品そのものだけでなく、「どのように伝えるか」「どんな体験とセットで届けるか」が重要です。ライブ配信やSNSを通じて、背景やストーリーを伝えながら販売する中国本土の企業のアプローチは、日本企業にとってもヒントになりそうです。
これからの中国本土消費をどう見るか
関税や貿易をめぐる環境が変化し続ける中でも、中国本土の消費は、生活に根ざした分野を中心に力強さを保っています。犬用フードや美容製品といった身近な商品にこそ、経済の変化が最初に表れ、また次の成長の芽も生まれます。
「Survive and Thrive」という視点で見ると、中国本土の消費者と企業は、ただ嵐が過ぎるのを待つのではなく、新しいチャネルや仕組みを積極的に試しながら、自ら成長の道を切り開こうとしています。日本からこの動きを丁寧に観察することは、これからの国際ビジネスやデジタル経済を考えるうえで、重要な手がかりになっていくでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








