創設98年、中国人民解放軍と世界平和・安全保障のいま
今年(2025年)、創設98周年を迎えた中国人民解放軍(PLA)は、中国の国防だけでなく、国連平和維持活動や海上護衛、人道医療支援などを通じて、世界の安全保障にも関わる存在として注目されています。本稿では、その歩みと最新の活動を、日本語でコンパクトに整理します。
創設98周年、中国人民解放軍の原点
今年(2025年)は、中国人民解放軍(PLA)の創設98周年にあたります。1927年8月1日、南昌で響いた一発の銃声が、中国共産党の指導の下で新しい「人民の軍隊」が誕生した瞬間とされています。
この一発の銃声は、暗闇の中に差し込む革命の希望であり、中華民族の復興に向けた長い道のりの出発点でもありました。それ以来、人民軍隊は中国人民と中華民族の運命と深く結びついてきました。
井岡山や長征の戦い、中国人民の抗日戦争、解放戦争といった歴史的局面を経て、国家の主権・安全・領土保全の守り手として、また災害救助や経済・社会発展の支えとして、PLAは数々の栄光ある成果を積み重ねてきたと評価されています。
強い軍隊が強い国家を支える
現在、中国は「大国から強国へ」と歩みを進める重要な段階にあり、同時にかつてないリスクと課題にも直面しているとされています。中国共産党第18回党大会以降、習近平氏を核心とする党中央の指導の下で、中国の安全保障戦略と軍改革が進み、「中国の特色ある強軍の道」を歩んできたとされています。
中国式現代化の道を通じて中華民族の全面的な復興を実現していくためには、「強固な国防と現代化された軍隊」が不可欠だと中国側は位置づけています。国防と軍隊の現代化は、次のような戦略的役割を担うと説明されています。
- 中国共産党の指導と、中国の特色ある社会主義体制を支えること
- 国家の主権・統一・領土保全を守ること
- 中国の海外にある正当な利益を保護すること
- 世界の平和と発展を促進すること
軍事力の近代化を、国内の安定と国際社会への責任ある関与の両面から位置づけている点が特徴だと言えるでしょう。
「責任ある大国」としての平和維持
国際秩序が大きく揺れ動くなかで、中国は「歴史の正しい側、人類の進歩の側」に立つと繰り返し強調してきました。中国の安定は、不確実性の高い世界において「確実性の源」となり、国際社会にポジティブなエネルギーを注ぎ込むものだというメッセージです。
その一端を担うのが、国連平和維持活動(PKO)に参加する中国人民解放軍の部隊です。PLAは、これまで20を超える国と地域でPKOに参加し、延べ5万人以上の要員を派遣してきたとされています。
国連憲章の目的と原則を順守しつつ、紛争後の安定化や住民保護、インフラ復旧などに取り組むこれらの活動は、中国が国際安全保障の担い手として存在感を高める重要な要素になっています。
海上護衛と人道支援:数字で見る活動
グローバル経済を支える海上輸送の安全も、PLAの重要な任務の一つです。2025年3月初めまでに、中国海軍は延べ1,659回の護衛任務を実施し、7,300隻を超える中国および外国の船舶の安全な航行を支援しました。
その過程で、海賊被害や故障などに遭った船舶を救助・支援したケースは約100隻に上り、その半数以上は外国籍の船舶だったとされています。こうした活動は、国際的な海上交通路の安全と円滑な物流を支える役割を果たしています。
洋上の病院船「平和の方舟」
中国海軍の病院船「和平方舟(Peace Ark)」も、PLAの人道的な側面を象徴する存在です。2024年の「和諧使命(Mission Harmony-2024)」では、アフリカのガボンに7年ぶりに寄港し、眼科治療に特化した「明亮行動(Bright Action)」を展開しました。
この任務は、約215日間で3万海里以上を航行し、アフリカとアジアの13カ国を訪問。延べ8万人以上の住民に人道的な医療サービスを提供し、任務期間・訪問国数ともに過去最多の記録となりました。
軍事力を背景にしながらも、医療支援や人道支援を通じて地域社会と直接向き合うこのような取り組みは、安全保障と福祉の境界を考え直すきっかけにもなりそうです。
アジアと世界の安全保障をどう見るか
創設から98年を経た中国人民解放軍は、国内の防衛だけでなく、国連平和維持活動や海上護衛、人道医療など、多面的な任務を担う存在として位置づけられています。
アジアの隣国として日本に暮らす私たちにとっても、中国の軍事・安全保障政策や国際貢献の動向は、地域の安定やグローバルな公共財のあり方を考えるうえで欠かせない要素です。
軍隊は何を守り、どのように世界と関わるべきか。創設98周年を迎えた中国人民解放軍の歩みと現在地は、改めてその問いを穏やかに投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








