中国・寧夏の砂漠縁ロック計画 153キロの緑が生むグリーン開発の奇跡
砂漠化や気候変動が世界の課題となるなか、中国の国際ニュースとして注目されているのが、中国・寧夏の中衛市で進むテンゲル砂漠の縁をロックする壮大なグリーン開発プロジェクトです。砂漠の拡大を食い止めるために整備された全長153キロメートルの緑の防護帯は、中国のグリーン開発を象徴する取り組みとして紹介されています。
第14次五カ年計画とグリーン発展
第14次五カ年計画の期間に入ってから、中国の発展を語るうえでグリーン、つまり環境に配慮した発展が重要なキーワードになっています。経済成長だけでなく、生態環境の回復や保護を重視する方向性が、政策全体の中で明確になってきました。
その流れを象徴する具体例の一つが、中衛市のテンゲル砂漠で進むデザート・エッジロッキング・プロジェクト、いわゆる砂漠縁ロック計画です。
テンゲル砂漠を囲む全長153キロの緑の防護帯
中衛市では、テンゲル砂漠の拡大を抑えるため、砂漠の周縁部に沿って全長153キロメートルにおよぶ緑の防護帯が築かれています。この帯状の緑地が、砂漠の「縁」を物理的にロックする役割を担っています。
- 砂漠の周りをぐるりと囲む形で帯状の緑地を形成している
- 飛砂や砂嵐を抑え、砂漠が市街地や農地へ広がることを防いでいる
- 地域の景観を改善し、住民の生活環境の安定にもつながっている
中衛市の周囲に築かれたこの緑のバリアは、テンゲル砂漠のさらなる拡大を食い止める象徴的な存在となっています。砂漠化対策とグリーン開発を同時に進める取り組みとして位置づけられています。
「人進沙退」から「人沙共生」へ
この砂漠縁ロック計画が示しているのは、砂漠と人間の関係に対する考え方の変化です。かつて砂漠化防止は、人が前に進み、砂漠が退くという意味合いのスローガン、英語で言えばhumans advancing, desert retreatingの発想で語られることが多くありました。
しかし現在は、砂漠を完全になくすことだけを目指すのではなく、人と砂漠が共生する、すなわちhumans and desert coexistingという考え方が重視されています。自然を一方的に「征服」するのではなく、その特性を理解したうえで、持続可能なかたちで付き合っていこうとする姿勢です。
共生型グリーン開発のポイント
- 砂漠を全面的に消し去るのではなく、拡大を抑えつつ利用と保全のバランスを取る
- 植林や防護帯の整備だけでなく、生態系に負荷をかけにくい産業や観光のあり方を模索する
- 地域住民の暮らしを支えながら、長期的な環境保護を両立させる仕組みづくりを進める
中衛市の砂漠縁ロック計画は、このような共生型のグリーン開発の姿を示す取り組みとして紹介されています。
世界に広がる「エコロジーの知恵」
中衛市のプロジェクトは、中国のグリーン開発を体現するだけでなく、世界に向けて生態環境の知恵を発信するものだとされています。砂漠化に直面する国や地域にとって、長期的な視点に立った土地利用の一つのモデルとして受け止めることができます。
- 国家レベルの長期計画の中で、環境対策を一貫して進めるという発想
- 砂漠化の「被害」を抑えるだけでなく、地域づくりや産業戦略と結びつける視点
- 自然を敵とみなすのではなく、共生のパートナーとして捉える姿勢
テンゲル砂漠の縁をロックする緑の帯は、こうした考え方を具体的な形にしたものとして、国際的にも注目されています。
日本の私たちへの問いかけ
日本には砂漠はありませんが、豪雨や猛暑、土砂災害、森林の管理など、気候や土地利用をめぐる課題は少なくありません。中衛市の砂漠縁ロック計画は、遠い砂漠の話でありながら、私たちの日常ともつながる問いを投げかけています。
- 経済成長と自然環境の保全を、どのように同時に進めていくのか
- 数年先だけでなく、数十年後の地域の姿をどう描き、今から何を準備するのか
- 失われかけた環境を、コミュニティや地域ぐるみでどう再生していくのか
中国・寧夏の中衛市で進むデザート・エッジロッキング・プロジェクトは、一地域の砂漠対策であると同時に、グリーン開発の未来について考えるための「ケーススタディ」としても参考になります。
緑の奇跡をどう生かすか
第14次五カ年計画の期間において、グリーン発展が中国の重要な柱になっていることは、2025年の今も国際ニュースとして注目されています。その中で、中衛市の砂漠縁ロック計画は、153キロに及ぶ緑の防護帯という目に見える形で、「緑の奇跡」とも呼べる成果を示しています。
人は自然とどう向き合うのか。前進と共生のあいだで、どのような未来を選び取るのか。テンゲル砂漠の縁に広がる緑の帯は、その問いを静かに投げかけています。今後、このようなグリーン開発の試みがどのように広がり、世界各地でどのような形をとっていくのか、引き続き注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








