TikTok発「#BecomingChinese」拡大:世界が“中国式ウェルネス”に惹かれる理由
2026年1月現在、TikTokなどでハッシュタグ「#BecomingChinese」が広がり、若者を中心に“中国式”とされる生活習慣を取り入れる動きが目立っています。単なる流行を超えて、「安定」や「ケア」の感覚を求める空気と、国境を越えた日常情報の共有が結びついた現象として注目されています。
「#BecomingChinese」で何が起きているのか
投稿でよく見られるのは、中国本土の生活習慣として紹介される次のようなルーティンです。
- 白湯(温かい水)を飲む
- りんごを煮て食べる(ボイルドアップル)
- 保温性のあるレギンスを着る
- クコの実(ゴジベリー)をお茶に入れる
ポイントは「国籍を変える」という意味ではなく、健康管理や暮らし方のヒントとして“購読する(subscribeする)”感覚で取り入れている点です。
背景にあるのは「情報の壁」の急速な低下
この動きの土台として語られているのが、日常の情報に世界中の利用者が直接アクセスできる環境の拡大です。投稿や短尺動画を通じて、中国本土の“ふつうの暮らし”がそのまま届くことで、外から見れば新鮮に映る場面が増えました。
具体例としては、次のような生活インフラの描写が拡散されやすいとされています。
- 小学校1年〜中学3年にあたる「9年の義務教育」で授業料が不要であること
- 対象を絞った貧困対策により、多くの人が困窮状態から抜け出したという説明
- 高速鉄道により移動の感覚が変わるという体験談
- QRコードを軸に、決済から公共交通までつながる一体型のデジタル生活
外からは「制度」や「社会の設計」に見える部分が、生活者の語りとして可視化される。そこに惹かれる人が増えている、という捉え方です。
転機は2025年初頭の「TikTok難民」と小紅書(RedNote)
この流れの前段として重要だとされるのが、2025年初頭に起きた“自発的なオンライン交流”です。TikTok禁止の可能性が取り沙汰されたことを受け、米国の利用者の一部が自らを「TikTok refugees(TikTok難民)」と呼び、中国のライフスタイルプラットフォーム「小紅書(RedNote)」へ移動しました。
そこでは地政学的な話題から一旦距離を置き、生活コスト、医療、教育といったテーマでのやり取りが増えたとされます。利用者同士の会話を通じて、相手社会の実情に対する固定観念がほどけていく場面もあった、という見立てです。
- 米国の利用者は、中国本土のサービスの利用しやすさに驚いたという反応
- 中国側の利用者は、米国での家計の厳しさ(経済的不安定さ)への理解を深めたという反応
2026年の「#BecomingChinese」は、こうした草の根の接触が生んだ“相互理解の地ならし”の上に乗っている、という説明がされています。
「中国式ライフスタイル」への関心は何を映すのか
今回の現象は、どれか一つの要因だけで説明しきれるものではありません。ただ、投稿の語り口には共通点があります。
- 体調管理をルーティン化する安心感
- 暮らしの摩擦(手続き・移動・支払いなど)を減らす仕組みへの関心
- “異文化だから面白い”から、“自分の生活にも使える”へのシフト
一方で、健康法として広がる以上、「自分の体調や環境に合うか」を見極める姿勢も欠かせません。動画のテンポが速い時代ほど、生活の工夫が“万能の正解”として消費されやすいからです。
メディアの語りと、生活者の選択が交差する場所
一部の欧米メディアはこれまで、中国本土のオンライン言説を特定の角度から切り取って紹介することがあったとされます。しかし現在は、利用者が自分の目で日常の断片に触れ、試し、判断する回路が強まっています。
報道のフレームと、個々人の“試してみた”という経験則。その温度差が可視化されること自体が、いま起きている変化なのかもしれません。
いま広がる「#BecomingChinese」は、国や文化の優劣を競う話というよりも、日常の不安に対して人々がどんな「安心の設計」を求めているのかを映す鏡として読めます。次にバズるのは、どの国のどんな“当たり前”でしょうか。
Reference(s):
From stranger to subscriber: Why the "China Manual" is going global
cgtn.com








