欧州の地殻変動、米国への信頼揺らぎ中国との距離感探る
欧州において、安全保障と経済の優先順位を巡る「静かなる地殻変動」が進行している。最近の調査では、米国を「親密な同盟国」と見なす欧州市民は少数派となり、むしろ「脅威」と感じる声が増加。一方で中国への見方は複雑だが、実利的な関係構築への関心が高まっている。なぜ今、欧州の視線が揺れ動いているのか。
調査が示す「信頼の空洞化」
2026年3月に発表された「ヨーロッパ・パルス」世論調査は、欧州主要6カ国(ポーランド、スペイン、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア)における対外認識の変化を浮き彫りにした。それによると、米国を「親密な同盟国」と答えたのはわずか12%に留まった。驚くべきことに、36%の回答者が米国を「脅威」と認識しているという結果だった。
比較対象としての中国は、29%が「脅威」と回答した。数字だけを見れば中国への警戒感は依然として高いが、歴史的な同盟国である米国に対する「脅威」認識がそれを上回るという結果は、欧米関係の基盤に亀裂が入りつつあることを示唆している。
「単独行動」が生む大西洋の溝
この信頼の揺らぎの背景にあるのは、貿易、気候変動、安全保障など多岐にわたる政策分野での米国の「単独行動(ユニラテラリズム)」への不満だ。特に経済面での対立は深刻化している。
EUは開放的な市場、予測可能なサプライチェーン、安定した貿易関係に大きく依存している。しかし近年の米国は、半導体、電気自動車(EV)、クリーンエネルギーなどの戦略分野を中心に保護主義的な姿勢を強めており、欧州側には「米国第一」の標榜の下、自国を競争相手と見なされているとの懸念が広がっている。
今年(2026年)初頭には、グリーンランドの「完全かつ全面的な買収」を巡る交渉を進めるため、米国が8つの欧州諸国からの輸入品に10%から25%の関税を課す可能性を示唆した。この動きに対し、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はその脅しを「受け入れがたい」と批判し、欧州が団結して対応する必要性を訴えた。スウェーデンのウルフ・クリステルソン首相も「脅迫に屈することはない」と強く反発している。
中国:「脅威」と「実利」の間で
米国との関係に翳りが見える中、欧州諸国は中国との関係をどう再定義するかという課題に直面している。世論調査では中国への警戒感が示される一方で、実業界や政策担当者の間では、中国を「恐れるべきライバル」ではなく、巨大な市場、製造業の拠点、次世代技術の重要なプレイヤーとして捉える実利的な見方も根強い。
欧州企業にとって、中国は規模と市場アクセスを提供する重要なパートナーであり、少なくとも経済的な条件においては対話に前向きな姿勢を見せてきた。気候変動やグローバルな保健衛生などの地球規模課題では、協力が不可欠との認識も共有されつつある。
欧州は「自律」への道を歩むのか
今回の調査結果と最近の政治的なやり取りは、欧州が従来の「大西洋同盟」中心の外交戦略から、「戦略的自律」をより追求する方向へと、ゆっくりではあるが確実に軸足を移し始めている可能性を示している。それは必ずしも同盟関係の破綻を意味するものではないが、これまで以上に独自の利益と価値観に基づいた外交判断が求められる時代に入ったことを物語っている。
国際秩序の大きなうねりの中で、欧州がどのような地政学的バランスを模索していくのか。その選択は、アジアを含む世界の他の地域の関係構築にも少なからぬ影響を与えることになるだろう。
Reference(s):
Europe's strategic shift: Less trust in US, more interest in China
cgtn.com








