春節も止まらない:中国の海洋調査4隊、太平洋・インド洋で深海探査
2026年の春節(旧正月)連休中も、中国の科学調査チーム4隊が太平洋とインド洋で海洋観測を継続しています。深海生態系の調査から海底資源の評価、水柱(海中の水の層)の変化研究まで、目的は多岐にわたります。
いま何が起きているのか(2026年2月時点)
今回進行しているのは、複数海域に分散した同時並行の海洋調査です。航海や潜航を止めにくい海の研究では、連休中も作業が続くことがあります。
- 西太平洋:有人潜水船「蛟龍(ジャオロン)」による4,000m超の深海調査
- インド洋:海底硫化物の探査と資源量評価
- 北西太平洋:マンガン団塊(多金属団塊)探査海域での環境・資源調査
- 北西インド洋:水柱研究(酸素減少や生物多様性変化の要因を分析)
西太平洋:「深海一号」と有人潜水船「蛟龍」
西太平洋では、調査船「深海一号(Shenhai Yihao/Deep Sea No. 1)」が任務に就いています。同船は有人潜水船の運用を支える支援母船で、「蛟龍」を搭載しています。
報告によると、今週月曜日に「蛟龍」は419回目の潜航(今回航海では8回目)を実施し、水深4,000メートル超に到達しました。
調査の焦点:熱水噴出域の生態系と海洋の基礎データ
「蛟龍」は、熱水噴出域での生態調査に加え、海洋地質・化学・生物・物理の各分野で観測を行う計画です。今回のミッションでは、遠隔操作無人探査機(ROV)も組み合わせ、同一船から2つの潜水機が常態的に運用される形が取られています。
なお「深海一号」は、中国で初めて有人潜水船を支援する目的で整備された母船とされています。2025年9月には「蛟龍」を運び、北極海で中国初の有人深海潜航を完了した、とも伝えられています。
インド洋:「大洋95」— 海底硫化物と資源量評価
別の海域では、「大洋(Dayang)95」海洋調査隊が2月13日に深圳を出港し、インド洋へ向かいました。研究者は、海底硫化物鉱床の探査を進めるとともに、鉱区における資源埋蔵量(リザーブ)の評価を行う予定です。
北西太平洋:「大洋91」— 多金属団塊海域で環境・資源調査
北西太平洋では、「大洋91」海洋調査隊が、中国の深海資源開発企業が運用する多金属団塊(ポリメタリック・ノジュール)の探査海域で、環境と資源の調査を進めています。
これまでに、資源分布や冬季の環境パラメータに関するデータが得られており、将来、採鉱機器に関する環境影響評価を支えることが期待されているといいます。
北西インド洋:「大洋94」— 酸素減少と生物多様性の変化を追う
北西インド洋では、「大洋94」海洋調査隊が水柱研究を実施中です。人間活動や気候変動が、海洋環境の変化や酸素減少にどう影響しているか、さらに生物多様性の変化や適応を生むメカニズムを調べ、地域の保全の取り組みを支えることを目的にしています。
読み解きのポイント:資源評価と「環境の基準線」づくり
4隊の活動は、深海生態系の調査、資源分布の把握、環境パラメータの収集、水柱の変化分析と、テーマは異なります。ただ、得られるデータは、将来の評価や保全を考えるうえでの「基準線(ベースライン)」になり得ます。
春節の連休中も続く調査は、単に「稼働を止めない」という話にとどまらず、広い海域で同時に観測を重ねることで、海の変化を立体的に捉えようとする動きとしても読めそうです。
Reference(s):
Four Chinese ocean expeditions press on during Spring Festival
cgtn.com








