宇宙に「充電ステーション」を。中国が推進する宇宙太陽光発電の最新進展
宇宙空間でのエネルギー確保という大きな課題に対し、中国が新たなアプローチで突破口を開こうとしています。現在、中国本土で進められている「逐日(Zhuri:太陽を追う)」プロジェクトが、宇宙太陽光発電とマイクロ波によるワイヤレス送電技術において重要な進展を遂げたことが明らかになりました。
宇宙での「ワイヤレス充電」という構想
中国工程院の段宝岩(Duan Baoyan)氏率いる研究チームは、宇宙太陽光発電ステーションのための地上検証システムを開発しました。この構想の核心は、軌道上に巨大な「マイクロ波充電ステーション」を配置することにあります。
従来の人工衛星は、機体に搭載された太陽光パネルのみにエネルギーを依存してきました。しかし、この新システムが実現すれば、軌道上のステーションからマイクロ波を用いて電力をワイヤレスで送信でき、複数の宇宙機に継続的なエネルギー供給が可能になります。
複数のターゲットへ同時に送電:新アーキテクチャの導入
今回の進展において特筆すべきは、「分散型オメガ(Distributed Omega)」と呼ばれる革新的なアーキテクチャの提案です。この設計により、長距離かつ高出力、そして高効率なマイクロ波送電を、移動する複数のターゲットに対して同時に行うことが可能になります。
実証実験で示された具体的な成果
地上での検証では、以下のような極めて具体的なデータが得られています。
- 送電能力: 100メートル以上の距離で、キロワットレベル(1,180ワット)の電力出力を達成。
- 伝送効率: 直流から直流への伝送効率20.8%、ビーム収集効率88.0%を記録。
- 動的送電: 時速30キロメートルで飛行するドローンに対し、30メートルの距離から143ワットの安定した電力を供給することに成功。
軽量化と効率化が切り拓く未来
研究チームは、太陽エネルギーの集光効率や光電変換効率の向上に加え、送受信アンテナの統合・小型化、そして軽量化設計においても大きな前進があったと報告しています。これは、将来的にこれらの装置を実際に宇宙空間へ打ち上げ、展開するための不可欠なステップとなります。
エネルギーを自前で抱え込むのではなく、宇宙空間に「インフラ」として電力を配置する。この視点の転換は、今後の宇宙探査や衛星運用のあり方を根本から変える可能性を秘めています。効率的なエネルギー伝送の実現は、より長期間、より高度なミッションを宇宙で遂行するための鍵となるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com