宇宙の「見えない網」を可視化:史上最大の宇宙磁場マップが公開
宇宙には、私たちの目には見えない巨大な「磁場の網」が広がっており、それが銀河の形成や進化を密かにコントロールしています。この不可視の構造を捉えた史上最大規模のマップが公開され、天文学の世界に新たな視点をもたらしています。
史上最大の「宇宙磁場マップ」SPICE-RACSとは
オーストラリアの国家科学機関であるCSIROと、世界最大級の電波望遠鏡を建設している国際組織SKAOが率いる研究チームは、宇宙の磁場を可視化した最新のマップ「SPICE-RACS」を発表しました。
このマップは、西オーストラリア州にあるASKAP電波望遠鏡による観測データを活用しており、これまでの取り組みと比較して5倍という圧倒的なスケールで構成されています。
「見えない力」をどうやって可視化したのか
磁場は目に見えませんが、光が磁場の中を通過するときに、その光がわずかにねじれるという性質があります。研究チームはこの「回転量(rotation measure)」と呼ばれる現象に着目しました。
- 膨大なデータ量: 約400万個もの銀河から届く信号を分析。
- 分析手法: 光のねじれ具合を測定することで、磁場の位置や相対的な強さを特定。
- オープンデータ: これらの結果はCSIROのデータポータルを通じて一般に公開されています。
この発見が解き明かす「宇宙の謎」
磁場は単なる物理現象ではなく、宇宙の歴史を紐解く重要な鍵を握っています。今回の高精細なマップによって、科学者たちは以下のような問いへの答えに近づくことができます。
エネルギーの分布と銀河の成長
宇宙全体にエネルギーがどのように分布しているのか、そして磁場がどのように物質の移動や銀河の成長に影響を与えてきたのかを、より詳細に調査することが可能になりました。
天の川銀河とその近隣との関係
私たちの住む天の川銀河が、隣接する銀河とどのように相互作用しているのか、また、こうした磁場が宇宙のいつの時点で現れたのかという、長年の疑問に対する検証が進むと期待されています。
SKAOの首席科学者ナオミ・マクルーア=グリフィス氏は、「過去20年間、私たちは限られたデータセットに頼ってきました。しかし今、より正確な宇宙の磁気構造が明らかになったことで、ついに大きな問いに答えを出せる段階に来ています」と述べています。
Reference(s):
Scientists release largest map yet of cosmic magnetic fields
cgtn.com

