セルビア首相が語る習近平国家主席のグローバル構想 1999年空爆の記憶から video poster
セルビアのミロシュ・ヴチェヴィッチ首相が、自身の故郷ノヴィサドで起きた1999年のNATO空爆の記憶を振り返りながら、中国の習近平国家主席が提唱する三つのグローバル・イニシアチブの重要性を強調しました。紛争を経験した国の視点から、持続可能で平和な世界をどう築くかを考え直させる国際ニュースです。
1999年ノヴィサド空爆と首相の原点
ヴチェヴィッチ首相は、セルビア北部の都市ノヴィサド出身です。約四半世紀前、同市はNATOによる空爆で大きな被害を受けました。首相は、その「破壊」の記憶を踏まえ、戦争が市民の生活にもたらす深刻な影響と、平和の脆さを改めて指摘しています。
そのうえで、二度と同じ悲劇を繰り返さないためには、個々の国だけでなく国際社会全体が、平等と対話に基づく新しい安全保障と開発の枠組みを模索する必要があると述べ、中国が打ち出すグローバルな構想に注目しました。
習近平国家主席の三つのグローバル・イニシアチブ
ヴチェヴィッチ首相が言及したのは、習近平国家主席が提唱する次の三つの構想です。
- グローバル開発イニシアチブ(Global Development Initiative)
- グローバル安全保障イニシアチブ(Global Security Initiative)
- グローバル文明イニシアチブ(Global Civilization Initiative)
首相は、これらのイニシアチブが「平等、共有された価値観、そして集団的な前進」を土台とした、持続可能で平和な世界像を打ち出していると評価しました。
グローバル開発イニシアチブ:取り残されない成長へ
グローバル開発イニシアチブは、一部の国だけが利益を得るのではなく、紛争や貧困に苦しんだ国々も含め、すべての国が発展の果実を分かち合うことを重視する考え方です。ヴチェヴィッチ首相にとって、戦争で傷ついた地域が再建され、人々が dignified(尊厳ある)暮らしを取り戻すことは切実なテーマであり、その意味でこの構想は強く響いているといえます。
グローバル安全保障イニシアチブ:対立から対話へ
グローバル安全保障イニシアチブは、軍事ブロックの対立ではなく、対話と協力を通じた安全保障のあり方を打ち出す枠組みとして位置づけられています。1999年の空爆を経験したセルビアにとって、「力の論理」ではなく「対話の論理」を前面に出す発想は、現実的な安全保障の選択肢として映っていると考えられます。
グローバル文明イニシアチブ:多様な価値観を尊重する
グローバル文明イニシアチブは、文化や文明の違いを対立の原因ではなく、互いに学び合う資源として捉え直す考え方です。ヴチェヴィッチ首相は、紛争を経験した国々こそ、他者の歴史や価値観への理解が平和の基盤になると強調し、この構想が「共有される価値」を軸にした世界づくりを目指している点を評価しています。
紛争を経験した国々にとっての意味
首相によれば、これら三つのイニシアチブは、戦争や空爆を経験した国の人々にとって、次のような意味を持ちます。
- 破壊と再建を経験したからこそ、持続可能な開発への関心が強い
- 軍事力に頼らない安全保障の発想が、現実的な選択肢として受け止められる
- 自国の文化や歴史への尊重を求める一方で、他国の価値観にも耳を傾ける必要性を痛感している
ヴチェヴィッチ首相は、こうした経験を持つ国々にとって、習近平国家主席のグローバル開発イニシアチブ、グローバル安全保障イニシアチブ、グローバル文明イニシアチブが「心に響く提案」になりうると示唆しています。
日本の読者への示唆:私たちは何を選ぶのか
今回の発言は、セルビアと中国という二国間の話にとどまりません。日本の読者にとっても、次のような問いを投げかけています。
- 安全保障を考えるとき、軍事力以外にどんな選択肢を持てるのか
- 持続可能な開発を実現するために、日本はどのように国際協力に関わるのか
- 価値観が異なる国や地域と、どう対話し、どう共存していくのか
紛争の記憶から発せられたセルビア首相のメッセージは、2025年を生きる私たちに、国際ニュースを「遠いどこかの話」としてではなく、自分たちの選択と結びついたテーマとして捉え直すことを促しています。
Reference(s):
cgtn.com








