イスラエル・イラン衝突は全面地上戦に発展せず?専門家が見る「抑制」の構図 video poster
イランがテルアビブに向けて空爆を行い、イスラエルによるイランの軍事・核関連インフラへの大規模攻撃に報復したことで、イスラエル・イラン間の衝突が一気に緊迫しています。しかし、中国本土の復旦大学で国際関係を研究する張楚楚(Zhang Chuchu)准教授は、状況は一定のコントロール下にあり、全面的な地上戦に発展する可能性は低いとみています。
何が起きているのか:空爆の応酬で高まる緊張
今回の一連の動きの出発点は、イスラエルがイランの軍事拠点や核関連インフラを狙った大規模攻撃に踏み切ったことです。これに対しイランは、イスラエル最大の都市テルアビブへの空爆という形で報復しました。
軍事施設や核関連インフラが標的となったことは、単なる象徴的な攻撃ではなく、双方の安全保障の根幹に関わる問題であり、国際社会が強い懸念を抱く理由でもあります。
専門家の見方:なぜ「全面地上戦」は起きにくいのか
張楚楚准教授は、情勢は緊迫しているものの、なお一定の「抑制」が働いていると分析します。その背景には、次のような要因があると考えられます。
- 双方とも、自国の安全保障上の「一線」を示しつつも、全面戦争に踏み込まないよう攻撃の規模や対象を調整している可能性があること
- イスラエルとイランの間で全面的な地上戦が起これば、中東地域全体を巻き込む大規模な戦争に発展しかねず、そのコストがあまりに大きいこと
- 他の国々や国際機関による「自制」を促す圧力が働きやすく、一定の歯止めとして機能していること
こうした要因を踏まえ、張准教授は、現時点では衝突が限定的な範囲にとどまり、全面的な地上戦にエスカレートする可能性は低いとみているといえます。
それでも残るリスク:誤算と連鎖反応
一方で、軍事行動が続く限り、偶発的な衝突や誤算が火種となり、想定以上のエスカレーションにつながるリスクは消えません。空爆の標的や被害の大きさによっては、国内世論が一気に強硬化し、指導部が一段と強い報復措置を取らざるを得なくなる可能性もあります。
とくに、都市部への攻撃は民間人の生命や日常生活に直接影響を及ぼし、感情的な対立を深めやすい側面があります。今回テルアビブが標的となったことは、その意味でも重い意味を持ちます。
今後の注目ポイント:私たちは何を見ていくべきか
今後のイスラエル・イラン情勢を見ていくうえで、次の点が重要になりそうです。
- 軍事行動の「頻度」と「規模」が拡大していくのか、それとも徐々に抑制されていくのか
- 両国が非公開のチャネルを含む何らかの対話や調整を模索する動きが出てくるかどうか
- 周辺の国々や国際社会が、緊張緩和に向けた仲介や働きかけを強めるのか、それとも対応が分かれるのか
今回の空爆の応酬は、軍事技術や抑止の問題にとどまらず、中東地域の安全保障バランスやエネルギー市場、そして世界経済にも波及しうるテーマです。日々の国際ニュースを追うなかで、単発の出来事としてではなく、より長い時間軸のなかで位置づけていく視点が求められます。
「遠い戦争」を自分ごととして捉える
日本から見ると、イスラエルとイランの軍事衝突は地理的にも心理的にも「遠い」出来事として受け止められがちです。しかし、エネルギー価格の変動や金融市場の不安定化、安全保障環境の変化などを通じて、私たちの日常ともつながっています。
全面地上戦の可能性が低いという専門家の見立ては、一定の安堵材料ではありますが、それでも不安定な状況がしばらく続く可能性は否定できません。緊張の度合いと、その裏側にある各国の計算や抑制のメカニズムに目を向けることが、国際ニュースを「自分ごと」として理解する一歩になりそうです。
Reference(s):
Analyst: Israel-Iran conflict unlikely to spark full-scale ground war
cgtn.com








