カナダ閣僚が米国の鉄鋼関税を批判 「カナダ産業と米経済を傷つける」 video poster
米商務省が鉄鋼を使う家電製品に追加関税を課すなか、カナダの通商担当閣僚ドミニク・ルブラン氏が、「関税はカナダ産業だけでなく米国経済も傷つける」と強く批判し、報復措置も辞さない姿勢を示しています。北米経済を支えるカナダと米国の関係に、改めて緊張が走っています。
米商務省が鉄鋼を使う家電に追加関税
米商務省は、2025年6月23日から、鉄鋼を使った複数の家庭用電化製品に追加関税を課す措置を開始しました。対象は「鉄鋼派生製品」とされる食器洗い機、洗濯機、冷蔵庫などのスチール製家電です。
この措置により、既存の鉄鋼・アルミニウム製品への関税は事実上倍増し、カナダから米国向けに製品を輸出する企業にとってコスト構造が大きく変わることになります。
カナダ企業と労働者に広がる不確実性
ルブラン氏はテレビインタビューで、こうした追加関税により「カナダの企業と労働者は、これまでにないほど大きな不確実性に直面している」と述べました。
輸出価格や受注見通しが読みにくくなることで、設備投資の判断が難しくなり、雇用や賃金にも影響が及びかねない、とカナダ側は懸念しています。
「米経済も傷つく」ルブラン氏の警鐘
ルブラン氏は、米国による鉄鋼・アルミニウム関税の「倍増」は、カナダの関連産業を壊滅させうるだけでなく、「米国経済そのものにも大きな打撃を与える」と指摘しました。
カナダと米国はサプライチェーン(供給網)を深く共有しており、原材料や部品の多くが国境をまたいで行き来しています。そのため、輸入関税によるコスト増は、最終的に米国内のメーカーや消費者にも跳ね返るという見方です。
同氏は「これらの関税は本来、課されるべきではなかった」と述べ、政策そのものの見直しを米側に求めています。
対抗措置は「自国も痛む」諸刃の剣
カナダは、今回の米国の動きに対して、数少ない「実質的な対抗措置」を取っている国の一つとされています。ただし、ルブラン氏は、そうした報復的な関税措置も、自国経済に圧力をもたらすことを認めています。
米国からの輸入品に関税をかければ、カナダ国内での価格上昇や企業コストの増加につながりかねません。関税合戦は、最終的に両国の企業や消費者に負担を強いる「ブーメラン」になり得るというジレンマが浮かび上がります。
揺らぐ「信頼できる経済パートナー」像
ルブラン氏が特に強調したのは、今回の関税問題が、カナダが長年前提としてきた「米国は信頼できる経済パートナーだ」という認識を揺さぶっている、という点です。
関税が繰り返し持ち出されることで、カナダ側では、将来の投資計画や長期契約を組むうえでの信頼の土台が崩れつつあるとの危機感が広がっています。
合意なき場合は報復関税も 協力の条件を明示
カナダ政府は、短期的に通商合意がまとまらない場合、米国による鉄鋼・アルミニウム関税の倍増に対して「報復措置を検討する」としています。
一方でカナダは、米国との協力関係を維持・拡大する意思も示しています。ただしその条件として、米国がカナダの自動車、鉄鋼、アルミニウム産業に対する関税制裁を停止することを明確に求めています。
関税は誰を守り、誰を傷つけるのか
今回のカナダと米国のやりとりは、関税という古典的な政策手段が、相互依存が進んだ現代の経済でどこまで有効なのか、改めて問い直すきっかけになっています。
企業の収益、労働者の雇用、消費者の物価、そして国同士の信頼関係──そのどこにどのような負担がかかるのか。北米の通商摩擦は、日本を含む各国の読者にとっても、自国の産業や暮らしを考えるうえで無視できない国際ニュースと言えます。
Reference(s):
Canadian official: Tariffs hurt Canadian industry and U.S. economy
cgtn.com








