世界の声が語る孔子の知恵 第11回ニシャン・フォーラムを読み解く video poster
米国、英国、スイス、エルサルバドル、北マケドニア、インド、エチオピアなど世界各地から研究者や思想家が集まり、孔子の思想を手がかりに現代の課題を語り合う――第11回ニシャン世界文明フォーラムで行われた企画「Wisdom across borders: Global voices on Confucian thought」は、2025年の今、なぜ儒教の知恵が再び注目されているのかを浮き彫りにしました。
第11回ニシャン世界文明フォーラムとは
ニシャン世界文明フォーラムは、世界のさまざまな文明や価値観が対話し、共通点と違いを落ち着いて見つめ直すことを目的とした国際会議です。第11回となる今回は、とくに孔子の思想や儒教の価値観がテーマのひとつとなり、各国のゲストが「今の世界にとって孔子はどんな意味を持つのか」を議論しました。
孔子の言葉としてよく知られているのが、「朋有り、遠方より来たる、また楽しからずや」という一節です。遠くから友が訪ねてくる喜びを語るこの言葉は、国境を越えて人びとが集い対話するフォーラムの空気そのものを象徴していると言えるでしょう。
世界が孔子に耳を傾ける理由
今回の国際ニュースが示すのは、孔子の思想が単なる「古典」ではなく、いまも各国の議論の土台になり得るという点です。儒教の中心にあるのは、次のような価値観だとされます。
- 「仁」:他者への思いやりや共感
- 「礼」:相手を尊重するふるまい、社会のルール
- 「学び続けること」:一生を通じて自分を磨き続ける姿勢
政治的な対立や社会の分断が深まると言われる2025年、こうした価値観は、単に東アジアの伝統ではなく、世界共通の課題に向き合うためのヒントとして受け止められつつあります。
「国境を越える友」たちの視点
今回の企画には、米国や英国、スイスといった欧州・英語圏に加え、エルサルバドル、北マケドニア、インド、エチオピアなど、多様な歴史と文化を持つ地域からも参加者が集まりました。背景の異なる国々の識者が孔子を語ることで、儒教思想の受け止め方にも幅が生まれます。
例えば、教育や人材育成を重視する視点から孔子を読む人もいれば、コミュニティの絆や家族の在り方に注目する人もいるでしょう。また、貧困や格差、紛争といった課題に直面する地域の参加者にとっては、「他者への共感」や「対話による問題解決」という儒教のキーワードが、現実の政策や社会運動を考える際の手がかりになり得ます。
このように、1人の古代の思想家をめぐる議論が、多様な国・地域の経験と結びつくことで、「文明間の対話」という抽象的な言葉に具体的な中身が与えられていきます。
もし孔子が2025年に現れたら、何を聞く?
今回の企画では、「もし孔子が2025年にいたとしたら、あなたは何を質問しますか?」という、時代をまたいだ問いかけも提示されました。この問いは、単なる想像遊びではなく、私たち自身がいま何に悩み、どんな未来を望んでいるのかを映し出す鏡でもあります。
たとえば、こんな問いが浮かびます。
- SNSやオンラインでのコミュニケーションが中心になる時代、「礼」にあたる振る舞いとは何でしょうか。
- 社会の分断やヘイトスピーチが問題となるなか、「違う価値観を持つ相手を尊重するにはどうしたらよいか」と孔子に聞くとしたら、どんな答えを期待するでしょうか。
- 人工知能(AI)やロボットが人の仕事を代替し始める世界で、「人間らしさ」とは何か、どのように学びを続けるべきか。
- 経済成長と格差の拡大、気候変動のような地球規模の課題に向き合う際、「個人として何を優先し、どう行動すべきか」。
これらは、第11回ニシャン世界文明フォーラムに参加した研究者だけでなく、私たち一人ひとりが自分の言葉で考える価値のある問いです。
日常で生かせる孔子のヒント
孔子の思想や今回の国際対話から、日常生活に引き寄せて実践できそうなポイントも見えてきます。
- 遠くの「友」と話す:異なる地域や分野の人の話を意識的に聞いてみる。オンラインの勉強会や国際ニュースを通じて、視野を広げるきっかけを作る。
- まず「聞く」ことから始める:意見が対立したときこそ、相手の背景や事情を丁寧に聞き取る姿勢を持つ。
- 小さく学び続ける:資格取得のような大きな目標でなくても、毎日少しずつ本を読む、新しい分野の記事をチェックするといった習慣を続ける。
こうした小さな実践の積み重ねが、孔子の言う「学び続けること」や「他者を思いやる心」に通じていきます。
あなたなら孔子に何を聞きますか
第11回ニシャン世界文明フォーラムで投げかけられた「孔子への質問」をめぐる対話は、2025年を生きる私たちに、「自分だったら何を聞くだろう」と静かに問いかけています。
仕事、家族、テクノロジー、政治、環境――関心のあるテーマは人それぞれです。だからこそ、「もし孔子が目の前にいたら、どんな悩みや希望をぶつけるか」を考えてみることは、自分の価値観を見つめ直す小さなきっかけになります。
記事を読み終えた今、スマートフォンを閉じる前に、1つだけ自分なりの質問を言葉にしてみてはいかがでしょうか。そして、家族や友人、オンラインコミュニティでその問いを共有することで、「朋有り、遠方より来たる」という孔子の言葉が、2025年の私たちの日常のなかでも少しずつ息づいていくかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








