王毅外相「南シナ海を協力と友好の海に」ASEAN会合で呼びかけ video poster
南シナ海に新しい物語を 王毅外相が協力・安定・友好を提唱
中国の王毅外相は2025年12月6日、マレーシアのクアラルンプールで南シナ海をめぐる新しい物語をつくるべきだと訴え、かつては対立の象徴とされた海域を「協力、安定、友好」の海へと変えていきたいとの考えを示しました。今年のASEAN(東南アジア諸国連合)プラス外相会合で見えたトーンの変化をどう読むべきか、日本語で整理します。
ASEANプラス外相会合で見えた「トーンの変化」
王毅外相は、今年のASEANプラス外相会合で行われた南シナ海をめぐる議論について、「これまでとは異なるトーン」が現れていると評価しました。従来のような緊張感一色ではなく、より落ち着きと自信が感じられる議論が交わされたという見方です。
外相は、この前向きな流れは、中国とASEAN諸国がここまで積み重ねてきた共同の努力の成果だと強調しました。つまり、当事者同士の対話と協力が、南シナ海をめぐる議論の空気そのものを変えつつある、というメッセージです。
南シナ海の「新しい物語」とは何か
王毅外相が口にした「新しい物語」という言葉は、南シナ海をめぐるイメージを対立から協力へと切り替えたい、という意思を示すものだと受け止められます。かつて「係争の海」として語られがちだった場所を、「協力、安定、友好」の象徴に変えていくという方向性です。
そのキーワードを分解すると、次のような方向性が見えてきます。
- 協力:関係国が共通の利益を認め合い、対話を通じて課題を管理していくこと。
- 安定:予測可能で落ち着いた環境を維持し、偶発的な衝突や緊張の高まりを避けること。
- 友好:互いをパートナーとして尊重し、信頼を積み上げる関係をめざすこと。
南シナ海をめぐる国際ニュースは、これまで「衝突」や「緊張」といった言葉が前面に出がちでした。王毅外相の発言は、その語り方そのものを変えようとする試みとも言えます。
「代理人は犠牲になりうる」警告の意味
今回の発言で王毅外相は、一方で南シナ海をめぐる問題をなお「かき立てている」国もあると指摘しました。そのうえで、他国の代理人として振る舞う国は、最終的に他者の利益のために自らの利益を犠牲にさせられるおそれがあると警告しました。
これは、南シナ海における議論や行動が、地域の当事者自身の判断ではなく、第三者の思惑に強く左右されることへの懸念を示したものと見ることができます。外から持ち込まれた対立の構図に巻き込まれるのではなく、地域の国々が主体的に協力の枠組みをつくるべきだ、というメッセージが込められているとも読めます。
日本の読者にとってのポイント
日本にとっても、南シナ海の安定は国際ニュースの一テーマにとどまらず、経済や安全保障と結びつく重要な課題です。今回の王毅外相の発言からは、次のようなポイントが見えてきます。
- 南シナ海を「対立の場」ではなく「協力の場」として位置づけ直そうとする動きが示されたこと。
- 今年のASEANプラス外相会合では、南シナ海をめぐる議論のトーンに前向きな変化が生まれていると評価されたこと。
- 一部の国が他者の代理人として振る舞うリスクに、改めて注意が促されたこと。
今後、南シナ海に関する報道や各国の発言を追う際には、「誰が、どの立場から、どのような物語を語ろうとしているのか」という視点を持つことで、ニュースの読み方が少し変わってくるかもしれません。
南シナ海をめぐる言葉のトーンが「協力・安定・友好」へとシフトしつつある今、その物語が実際の行動や具体的な枠組みとしてどこまで形になるのかが、これからの大きな焦点になっていきそうです。
Reference(s):
Wang Yi urges cooperation, stability, friendship for South China Sea
cgtn.com








