Z世代の村長が生んだ中国本土の「レインボー村」 故郷回帰の理由とは video poster
28歳の村長ジャン・グイファンさんが、中国本土の小さな農村を「レインボー村」としてよみがえらせています。バスケットコートや簡易映画館、高齢者向けの無料食堂まで、彼女の挑戦は、地方と若者の新しい関係を映し出しています。
Z世代の村長が生んだ「レインボー村」
ジャン・グイファンさんは、現在28歳。村長になってから5年目を迎えました。大学を卒業して間もない20代前半で故郷に戻り、かつては苦境に立たされていた故郷の村を立て直す役割を引き受けたことになります。
彼女が引き継いだ当時、この村は若者が離れ、高齢者が多く残る典型的な過疎地域でした。仕事も娯楽も少なく、「ここで暮らし続ける理由が見えにくい」と感じる人も少なくなかったといいます。
そこから5年かけて、村は「レインボー村」と呼ばれるようになります。カラフルな名前には、子どもから高齢者まで、誰もが安心して過ごせる居場所を増やしたいという思いが込められています。
卒業後すぐに「村長」を選んだ背景
同世代の多くが大都市でのキャリアを選ぶなか、なぜ彼女はあえて故郷に戻り、村長という重い責任を引き受けたのでしょうか。その動機は、彼女の取り組み方から見えてきます。
1. 故郷への責任感と「顔の見える仕事」
ジャンさんにとって、その村は生まれ育った「ホーム」です。子どもの頃から見てきた風景や、人々の暮らしが、そのまま彼女の原点でもあります。
村長という立場を選ぶことは、行政の仕事をこなすだけでなく、顔なじみの人たちの悩みや希望に直接向き合うということでもあります。誰のために働いているのかがはっきり見える仕事に魅力を感じたことが、故郷に戻る大きな理由のひとつだと考えられます。
2. デジタル時代の農村にチャンスを見た
ジャンさんは、ライブ配信を使って地元の農産物を発信し、販売する取り組みを進めてきました。スマートフォンひとつで、村の野菜や果物が、遠く離れた都市部の消費者にも届く時代です。
こうした「ライブコマース」は、若い世代にとって身近なスキルでもあります。都市に出て働くのではなく、自分が慣れ親しんだデジタルの感覚を故郷で生かす――その選択が、彼女にとって自然なキャリアパスだったとも言えるでしょう。
3. 高齢者が安心して暮らせる村へ
ジャンさんの象徴的な取り組みのひとつが、高齢者のための無料食堂です。経済的な理由や家族構成によって、毎日の食事に不安を抱える高齢者は少なくありません。
無料食堂は、単なる「食事提供」の場にとどまりません。同じ世代の仲間たちと一緒に食卓を囲み、会話を楽しむことで、孤立感の解消にもつながります。彼女の政策には、数字よりも人の表情を大切にする姿勢がにじんでいます。
5年間で村が変わった3つのポイント
ジャンさんの5年間の取り組みは、大きく次の3つに整理できます。
- スポーツと文化の場づくり: 村にバスケットコートや映画を楽しめる場を整備し、子どもや若者が集まりやすい「遊び場」「学び場」を増やしました。
- 農産物のライブ配信販売: ライブ配信を通じて地元の特産品を紹介し、これまで市場に出にくかった農産物に新しい販路を開きました。
- 高齢者向け無料食堂: 高齢者が安心して通える食堂を運営し、健康面と孤立防止の両方を支えるコミュニティの拠点にしています。
こうした取り組みが積み重なり、かつては「苦しい」と言われていた故郷の村は、今では内外から親しみを込めて「レインボー村」と呼ばれるようになりました。
Z世代と地方の未来:日本へのヒント
中国本土の一つの村で起きている変化ですが、日本の地方創生を考えるうえでも示唆に富んでいます。人口減少や高齢化、若者の流出といった課題は、日本の地方も共有しているからです。
ジャンさんの挑戦から、次のようなポイントが浮かび上がります。
- 地方でも、デジタル技術を生かせば、新しい仕事や市場を生み出せる。
- 「稼ぐこと」と「地域を支えること」を両立させるキャリアは、Z世代にとってリアルな選択肢になりうる。
- ハード整備だけでなく、高齢者や子どもなど、暮らしの弱い部分に目を向けることで、地域全体の安心感が高まる。
地方を「何もない場所」と見るか、「自分たちでつくり変えられるキャンバス」と見るか。その意識の違いが、地域の未来を大きく左右していきます。
「どこで働くか」から「どう生きるか」へ
ジャン・グイファンさんの選択は、「都会か地方か」という二者択一を超えたものです。自分がどこで、誰と、どのように生きたいのか。その答えを、彼女は故郷の村で探し続けています。
もしあなたが同じ28歳だとしたら、あるいはこれから社会に出ていく立場だとしたら、どんな場所で、どんな人たちと未来をつくりたいでしょうか。
中国本土の小さな「レインボー村」で起きている静かな変化は、私たち一人ひとりに、働き方や生き方をもう一度考えてみるきっかけを投げかけています。この記事が気になった方は、ぜひ身近な人とシェアし、「自分ならどうするか」を話し合ってみてください。
Reference(s):
Gen-Z village chief shares her motivation to return to countryside
cgtn.com








