ガザのがれきはピラミッド13個分 UNDPが示す復興の出発点 video poster
ガザ地区での復興には、まず約5,500万トン、ピラミッド13個分に相当するがれきの撤去が必要だと、国連開発計画(UNDP)の担当者が現地で明らかにしました。数字だけではつかみにくい破壊の規模と、その先にある再建のハードルを整理します。
ガザ全域に積もる「約5,500万トン」のがれき
ガザ地区では、復興に向けた出発点として、膨大ながれきの処理が避けて通れない状況になっています。
国連開発計画(UNDP)のパレスチナ人民支援計画の特別代表を務めるジャコ・シリヤーズ(Jaco Cilliers)氏は、木曜日にガザを訪問した際、ガザ全域で撤去が必要ながれきの量は「約5,500万トン」に達すると述べました。
この数字は、単なる統計以上の意味を持ちます。道路や住宅、学校、病院といった生活の土台となるインフラが、物理的に形を失っていることを示しているからです。
ピラミッド13個分という比喩が示すもの
シリヤーズ氏は、がれきの規模をイメージしやすくするため、「これはギザのピラミッド13個分に相当する」と説明しました。
エジプトの巨大建造物として知られるピラミッドを13個分積み上げたのと同じ量のがれきが、ガザの狭い地域に散らばっているというイメージです。
- 重機をどこから入れるのか
- がれきに混じった金属やコンクリートをどう分別・再利用するのか
- 住民が暮らしながら撤去作業を進められるのか
こうした具体的な課題が、ピラミッド13個分というたとえの中に隠れています。
2年間の空爆で建物の8割超が被害
UNDPの見立ての背後には、建物被害の深刻さがあります。
国連衛星センターの分析によると、ガザでは過去2年間にわたるイスラエルによる空爆の結果、全ての建物のうち約83%が損壊しているとされています。
これは、完全に倒壊した建物だけでなく、部分的に壊れた住宅や商業施設、公共施設も含めた数字です。街並みのほとんどが何らかの形で傷ついていることになります。
「復旧」よりもまず「安全確保」
建物の約83%が被害を受けた状態では、
- 倒壊の危険がある建造物
- 地中に埋もれたがれき
- 生活道路をふさぐ残骸
などが、日常生活そのものの安全を脅かします。
そのため、復興と聞いて連想しがちな「再建」「新しい住宅の建設」に取りかかる前に、まずはがれきを片付け、人が安全に通れる空間を取り戻す必要があります。
復興はどこから始まるのか
約5,500万トンというがれきの量は、それだけで長期的な取り組みになることを示しています。1日で運び出せる量には限りがあり、作業が進むスピードは、資金や人手、重機の数、安全確保の方法など、多くの条件に左右されます。
一般に、大規模な破壊の後に復興を進める際には、次のような優先順位が検討されます。
- 主要道路や橋など、救援や物流の「動線」の確保
- 病院や給水施設など、命に直結するインフラの復旧
- 学校など、地域コミュニティの拠点となる施設の再建
- 住宅の再建と、避難生活からの移行支援
ガザでも同様に、「どこから片付け、どのエリアを先に再建するのか」という判断が、今後の生活再建の速度を左右していきます。
がれきは「廃棄物」か、それとも「資源」か
これだけ大量のがれきが出ると、その扱い方も重要なテーマになります。コンクリートや金属、ガラスなどを分別し、可能な範囲で再利用できれば、復興に必要な建材の一部を現地で賄うことができます。
一方で、がれきには危険物質が混じっていたり、爆発物の残骸が含まれていたりする可能性もあります。作業にあたる人の安全をどう守るのかも、大きな課題です。
ニュースを読む私たちが考えたいこと
ガザの状況は、日本から見ると地理的にも心理的にも遠く感じられるかもしれません。しかし、「約5,500万トン」「ピラミッド13個分」「建物の83%」という具体的な数字は、破壊の規模をイメージする手がかりになります。
同時に、それだけの量のがれきを片付けて初めて、「復興が始まる入口」に立てるという現実も示しています。
国際ニュースを追うとき、私たちはつい「停戦か継続か」といった政治的な側面に目を向けがちです。しかし、その一歩先には
- がれきをどう片付けるのか
- 人々の生活をどう取り戻していくのか
- 長期的にどのような支援が必要になるのか
といった、より生活に近い問いも並んでいます。
ガザで今語られている「ピラミッド13個分のがれき」は、遠い土地のニュースであると同時に、大規模な破壊からどう社会を立ち上げ直すかという、私たち自身にも返ってくる問いでもあります。
Reference(s):
Nearly 55m tonnes of debris in Gaza must be cleared, UNDP says
cgtn.com








