タイ南部で「300年に一度」の豪雨 観光都市ハジャイを襲う壊滅的洪水 video poster
タイ南部で「300年に一度」と形容される記録的豪雨による洪水が発生し、観光都市ハジャイを含む広い範囲で甚大な被害が出ています。約270万人が影響を受け、33人が命を落としたとされる今回の災害は、気候危機と都市の脆弱性をあらためて浮き彫りにしました。
タイ南部で何が起きているのか
タイ南部では、1週間にわたる激しい雨が続き、2025年11月25日にはタイ政府がソンクラー県に非常事態宣言を出しました。雨量は「300年に一度」と言われるほどの規模に達し、観光と商業の拠点として知られるハジャイの街を中心に、周辺地域まで広く浸水しました。
道路は広い範囲で冠水し、多くの住宅や店舗が水につかりました。地域の交通や物流も大きく乱れ、日常生活や経済活動に深刻な影響が出ています。
被害の規模:約270万人が影響、33人が死亡
今回の洪水では、南部一帯でおよそ270万人が影響を受け、少なくとも33人が死亡したとされています。水位の急激な上昇により、逃げ遅れた住民も多く、家屋の2階部分まで浸水した地域もあるとみられます。
- 影響を受けた人の数:約270万人
- 確認されている死者:33人
- 主な被災地:ソンクラー県、観光都市ハジャイと周辺地域
タイ当局は救助隊を各地に派遣し、取り残された家族の救出や避難支援にあたっています。水の流れが速い地域もあり、ボートや大型車両を使った救助活動が続けられています。
観光都市ハジャイへの打撃
ハジャイは、タイ南部を代表する観光と商業のハブで、国内外から多くの旅行者が訪れる街です。その中心部が浸水したことで、ホテルや市場、飲食店など観光関連の施設も大きな被害を受けました。
観光産業は地域経済を支える重要な柱です。繁華街や観光スポットが水につかう状況は、現地の雇用や収入にも長期的な影響を与える可能性があります。観光客の戻りをどう支え、地域の経済活動を再建していくかが、今後の大きな課題となります。
なぜここまで被害が拡大したのか
今回の洪水の背景には、複数の要因が絡み合っていると考えられます。
- 極端な豪雨の頻度増加:地球温暖化の進行により、大気中の水蒸気量が増え、短時間に非常に強い雨が降るリスクが高まると多くの研究で指摘されています。
- 都市化と排水能力の限界:人口や建物が集中する都市部では、地面がアスファルトやコンクリートで覆われ、雨水が地中にしみ込みにくくなります。その結果、排水設備の能力を超えたとき、一気に浸水が広がりやすくなります。
- 低地や河川近くへの居住:経済活動や生活の利便性から、河川沿いや低地に人や資産が集中しがちで、ひとたび洪水が起きると被害が大きくなります。
タイ南部で起きたことは、東南アジアだけの問題ではありません。世界各地で、これまでにないとされる規模の豪雨や洪水が相次いでいます。
日本への示唆:遠い国のニュースで終わらせない
日本でも、線状降水帯による集中豪雨や「想定外」の水害が各地で起きています。タイ南部の洪水は、私たち自身の暮らしや都市のあり方を考え直すきっかけにもなります。
個人レベルでできる備えとして、次のようなポイントが挙げられます。
- 自宅や職場のリスクを知る:自治体が公表しているハザードマップで、洪水や内水氾濫、土砂災害の想定区域を確認しておくこと。
- 避難経路と避難先を共有する:家族や同僚と、どのタイミングでどこへ避難するかを事前に話し合っておくこと。
- 非常用の備えを整える:飲料水、食料、常備薬、モバイルバッテリーなど、数日分の最低限の備蓄を用意しておくこと。
- 情報の取り方を決めておく:テレビやラジオ、自治体の防災情報、気象情報アプリなど、信頼できる情報源を複数確保しておくこと。
都市に住む私たちは、インフラや行政サービスに支えられている一方で、そのインフラが一度機能不全に陥ると、大きな影響を受けます。タイ南部の洪水は、そのもろさを可視化した出来事だともいえます。
これからの焦点:復旧と「次の豪雨」への備え
タイ南部では、当面は住民の安全確保と生活再建が最優先となります。住宅や道路、電力などインフラの復旧には時間がかかり、観光を含む地域経済をどう立て直すかも大きなテーマです。
同時に重要なのは、「次の豪雨」にどう備えるかという視点です。排水能力の強化や、浸水リスクの高い地域での建築規制、早期警戒システムの整備など、気候変動を前提にした都市づくりが問われています。
今回のタイ南部の大洪水は、気候危機の時代に私たちがどのようにリスクと向き合い、どのように備えを共有していくのかを静かに問いかけています。遠くの国の災害として眺めるだけでなく、自分の暮らす街に引き寄せて考えてみることが、次の一歩につながりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








