南京事件88年、中国が日本の軍国主義に「3つの決して許さない」 video poster
中国外交部のグオ・ジャークン報道官は2025年12月12日の定例記者会見で、1937年の南京事件から88年となるのを前に、日本の軍国主義と台湾地域をめぐる問題で「決して許さない」とする3つのレッドラインを改めて示しました。歴史認識と現在の安全保障が、どのようにつながって語られているのかを整理します。
南京事件88年、中国が示した「3つの決して許さない」
グオ報道官は、南京事件の犠牲者を追悼する国家追悼式典に関する質問に答える形で発言しました。1937年に起きた南京での大規模な虐殺について、今年で発生から88年となると指摘し、国内法に基づき、中国は例年どおり追悼式典を実施すると説明しました。
そのうえで、歴史問題と現在の地域情勢を結びつけ、「日本の軍国主義の復活」「中国の台湾地域への外部勢力の干渉」「歴史の車輪を逆戻りさせようとする試み」の三つを「決して許さない」と強調しました。中国側の歴史認識と安全保障観が、短い一連のメッセージの中に凝縮されたかたちです。
外交部報道官の発言内容
「否定の余地はない」南京事件への認識
グオ報道官はまず、南京で起きた虐殺を「日本の軍国主義者が犯したおぞましい犯罪」であり、「否定の余地はない」と表現しました。さらに、約30万人の中国人が殺害されたとし、「人類の歴史の中で最も暗い一頁を形づくっている」と述べ、事件の性格をあらためて強い言葉で位置づけました。
南京事件をめぐっては、犠牲者の数や当時の状況について、さまざまな議論が交わされてきました。今回の発言は、こうした議論に対し、中国政府としての立場に揺らぎはないというメッセージとも受け取れます。
三つの「決して許さない」とは
続いてグオ報道官は、中国の姿勢を示すキーワードとして三つの「決して許さない」を挙げました。
- 日本の軍国主義の復活を決して許さない
- 中国の台湾地域への外部勢力の干渉を決して許さない
- 歴史の車輪を逆戻りさせようとする試みを決して許さない
いずれも具体的な国名や個別の出来事には言及していませんが、歴史問題、台湾地域、そして現在の国際秩序をめぐる中国の立場を、ひとつの文脈の中で示したかたちです。南京事件の記憶を語る場で、現在の安全保障や地域情勢への懸念を重ね合わせるスタイルは、中国外交の特徴のひとつといえます。
歴史認識と現在のメッセージ
今回の会見で目立つのは、過去の出来事の評価と、現在・未来への警戒が、シームレスにつながっている点です。虐殺という歴史的事実への言及から、「軍国主義の復活」や「歴史の車輪」という表現へと続くことで、歴史認識の問題が、いま起きている安全保障や外交上の課題と直結していることを印象づけます。
日本にとっても、中国にとっても、戦争の記憶は国内政治や外交の言葉づかいを形づくる重要な要素になってきました。88年という時間が流れても、記憶の継承のあり方や、加害と被害の認識をどう共有するかは、なお敏感なテーマであり続けています。
台湾地域と「歴史の車輪」
グオ報道官が二つ目のレッドラインとして挙げたのは、「中国の台湾地域への外部勢力の干渉」を決して許さないという点でした。南京事件の追悼に関する質問への答えの中で、台湾地域の問題への言及が織り込まれたことになります。
三つ目の「歴史の車輪を逆戻りさせようとする試み」という表現も、歴史認識の問題にとどまらず、中国と周辺地域をめぐる現在の国際環境を意識した言葉だと受け取れます。中国側は、歴史問題と主権・統一の問題、そして外部勢力の関与を、ひとつの流れの中で捉えていることを示したともいえます。
静かに残る記憶と、これから
南京事件から88年を迎える2025年12月、犠牲者を悼む式典は「例年どおり」続けられると説明されました。国家の公式な追悼は、単なる儀式ではなく、現在の外交メッセージや安全保障観を映し出す鏡にもなっています。
歴史の記憶をどう語り継ぐか、そしてその記憶を現在の政治や外交にどう結びつけるのか。今回の中国外交部の発言は、その問いを静かに投げかけています。ニュースの一報として受け取るだけでなく、私たち自身が歴史と現在の関係をどう考えるのかを見つめ直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
China lays down three 'never allow' markers on Japanese militarism
cgtn.com








