思い出を形に。中国本土・重慶で広がる「メモリーベア」という癒やしの形 video poster
大切な人を失った悲しみにどう向き合い、どのように記憶を留めておくか。中国本土の重慶で、故人が生前に愛用していた衣類をぬいぐるみに作り替える「メモリーベア」という取り組みが、遺族の心に寄り添う新しいケアの形として注目されています。
衣類から「寄り添う存在」へ
重慶で活動する人形作家の余潔(ユ・ジエ)さん(46歳)は、遺族から預かった大切な服を丁寧に縫い合わせ、一匹のクマのぬいぐるみへと作り替えています。単なるリメイクではなく、そこに込められた記憶を形にすることがこの活動の核心です。
多くの遺族にとって、故人の衣類は単なる布ではなく、その人の温もりや香りが残る大切な品です。しかし、そのまま保管しておくことは時に、深い喪失感を呼び起こす原因にもなります。それを「抱きしめられるぬいぐるみ」という形に変えることで、悲しみを抱えながらも、共に歩んでいける心地よい距離感を提供しています。
グリーフケアとしての役割
心理学的な視点から見ると、こうした活動は「グリーフケア(悲嘆のケア)」の一環として機能していると考えられます。メモリーベアがもたらす効果には、以下のような側面があるようです。
- 触覚による安心感:故人の服という馴染みのある感触に触れることで、心理的な安定を得やすくなる。
- 記憶の再構成:悲しい別れの記憶だけでなく、その服を着て過ごした幸せな時間を思い出すきっかけになる。
- 喪失の受容:形を変えて身近に置いておくことで、徐々に現実を受け入れ、前を向くための助けとなる。
静かに心を満たす、形ある思い出
余さんは、単に人形を作るだけでなく、依頼者の想いを聞き出し、その記憶を形にするという役割を担っています。形あるものはいつか失われるかもしれませんが、そこに込められた愛情や記憶は、形を変えて受け継がれていきます。
現代社会において、効率やスピードが重視される一方で、こうしたゆっくりと時間をかけて心に寄り添うアプローチは、多くの人々にとって静かな救いとなっているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com



