2024年CISCE北京発 グリーン水素サプライチェーンを読み解く video poster
世界のサプライチェーンとクリーンエネルギーの動きを同時に見渡せる場として、2024年に北京で開かれた第2回中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)が注目されました。本記事では、そのクリーンエネルギーチェーン展示を手がかりに、グリーン水素産業の仕組みをコンパクトに整理します。
サプライチェーンに特化した2024年CISCE
第2回中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)は、サプライチェーンに焦点を当てた世界初の国家級展示会として北京で開催されました。製造業からサービスまで、多様な分野の企業が参加し、供給網をどう安定させ、効率化していくかをテーマにしています。
会場では、多くの出展企業が自社ブースを単独で構えるのではなく、原材料や部品を供給する上流企業、物流や販売を担う下流企業と並んで展示しました。来場者が、一つの製品がどのようなパートナーとの連携で成り立っているかを一目で理解できる構成です。
クリーンエネルギーチェーン展示でクローズアップされたグリーン水素
こうした流れの中で、クリーンエネルギーの代表例として取り上げられたのがグリーン水素です。会場のクリーンエネルギーチェーン展示では、グリーン水素がどのように生産され、運ばれ、貯蔵され、最終的に利用されるのかが、一つの流れとして紹介されました。
現地では、国際メディアであるCGTNの記者もこの展示からリポートを行い、来場者と視聴者に向けて、技術とサプライチェーンがどのようにつながっているのかを伝えました。
1. つくる:クリーンエネルギーからの水素製造
グリーン水素は、再生可能エネルギーを使って水を電気分解し、二酸化炭素の排出をほとんど伴わずに製造される水素のことです。展示エリアでは、発電設備や電解装置、制御システムなどを担う企業が上流のプレーヤーとして位置づけられ、デジタル技術による効率化や監視システムの高度化がアピールされました。
2. はこぶ:輸送を支える技術と連携
製造された水素を必要とする場所まで安全に届けるには、輸送の段階での工夫が欠かせません。CISCEの会場では、タンクや配管、輸送用の設備などを展示する企業が、製造段階の企業と並んで参加し、サプライチェーン全体としての連携を示しました。センサーやデータを活用して、どこにどれだけの水素があるのかをリアルタイムで把握する試みも紹介されています。
3. ためる:需要に合わせるための貯蔵
エネルギー需要は時間帯や季節によって変動します。そのギャップを埋めるのが貯蔵の役割です。グリーン水素の展示では、高圧タンクなどの貯蔵設備や、それらの状態を遠隔で監視するシステムが紹介され、必要なときに必要な量を取り出せる仕組みが強調されました。
4. つかう:産業、発電、モビリティへ
サプライチェーンの下流には、水素を実際に利用する産業やサービスが並びます。工場の熱源、発電設備、燃料電池を使った車両など、さまざまな利用イメージが提示され、来場者がグリーン水素の活用シーンを具体的に思い描けるような構成となっていました。
博覧会だからこそ見えるサプライチェーンの全体像
今回のCISCEで特徴的だったのは、グリーン水素に関わる企業が、それぞれの役割を持ちながら一つの流れを形づくっていた点です。
- 上流でエネルギーと装置を提供する企業
- 中流で輸送と貯蔵を担う企業
- 下流で水素を使った製品やサービスを提供する企業
これらが同じ展示エリアで連携していることで、来場者はどの技術が欠けてもチェーンが成立しないというサプライチェーンの本質を視覚的に理解できます。技術だけでなく、企業間の協力関係がクリーンエネルギーの普及を支えるというメッセージが込められていると言えるでしょう。
なぜグリーン水素が国際ニュースになるのか
世界各地で脱炭素が課題となる中、再生可能エネルギーでつくるグリーン水素は、重工業や長距離輸送など、電気だけでは対応しにくい分野を支える選択肢として注目されています。サプライチェーン全体をテーマにしたCISCEでクリーンエネルギーチェーン展示が設けられたことは、エネルギー転換が供給網の議論の中心に入りつつあることを象徴しています。
これからを考えるための問い
2024年のCISCEで示されたグリーン水素のサプライチェーンは、今後の議論に向けていくつかの問いを投げかけています。
- コストをどこまで下げ、事業として成立させていくのか
- 安全性や品質をどう標準化し、国や地域をまたいでも通用する仕組みにするのか
- デジタル技術を使って、どこまで効率化と見える化を進められるのか
こうした問いに対する答えはまだ模索の途中ですが、サプライチェーンを一体としてとらえる視点は、クリーンエネルギーの国際ニュースを読み解くうえで欠かせない視点になりつつあります。日々のニュースの中で、水素やクリーンエネルギーに関する話題が出てきたとき、背後にあるサプライチェーンの姿を意識してみると、世界の動きが少し違って見えてくるかもしれません。
Reference(s):
Live: 2024 CISCE – How the tech-driven green hydrogen industry works
cgtn.com








