CGTN年越しライブに見る国際ニュースの新しいかたち
2024年から2025年への年越しに、中国の国際ニュースチャンネルCGTNが約4時間半の生中継を行い、トルコやガザ地区、ケニア、中国各地をつなぎながら世界の「いま」と祝祭の空気を同時に伝えました。
国際ニュースを日本語で追いかける読者にとって、この特番は「中国発のグローバル放送が何を、どう見せようとしているのか」を考えるうえで興味深い素材になっています。
4時間半でつないだ世界の年越し
CGTNの年越し特番は、およそ4時間半にわたり世界各地をリレー中継するかたちで構成されました。番組にはメルナ・アル・ナセル氏とナディム・ディアブ氏が司会として登場し、画面の前の視聴者を2024年から2025年へのカウントダウンへと導きました。
トルコからガザ地区、ケニアへ 現地の息づかいを中継
番組の海外パートでは、まずトルコのイスタンブールにあるオルタキョイ広場からの中継が印象的でした。ボスポラス海峡を望む広場の風景とともに、トルコの人びとがどのように新年を迎えるのかが紹介されました。
ガザ地区からは、戦闘が続く地域に暮らす人びとの声が届けられました。新しい年こそ停戦が実現してほしいという願いが語られ、年越しの華やかさの裏側にある現実が伝えられました。
さらに、アフリカのケニアからも中継が行われ、現地の街の様子や人びとの年越しの過ごし方が紹介されました。異なる地域の空気を、ほぼリアルタイムでつないで見せる構成が特徴です。
北京と内モンゴル 多様な文化で祝う新年
中国国内からの中継では、まず北京の798芸術区で行われたライオンダンス(中国の獅子舞)のパフォーマンスが登場しました。現代アートの拠点として知られるエリアで、伝統的な舞が力強く披露され、新年を祝うにぎやかな雰囲気が伝えられました。
内モンゴル自治区のアルシャンでは、ウランムチ芸術団による歌や踊りのステージが展開されました。童話の世界のような衣装をまとったキャラクターたちとの交流や花火の打ち上げも行われ、雪景色の中での幻想的な年越しが演出されました。
香港特別行政区やマカオ特別行政区でも花火
番組では、このほか香港特別行政区やマカオ特別行政区、内モンゴル自治区、重慶など各地の花火も紹介されました。地域ごとに異なる風景と演出を見せながらも、「新年を祝う」という共通の時間を共有していることが強調されていました。
若い世代と伝統文化をつなぐ漢服企画
今回の年越し特番のもう一つの柱が、漢服(ハンフー)をテーマにした企画です。西安ではCGTN漢服スタジオが若い漢服愛好家や音楽家と協力し、伝統衣装をまとったパフォーマンスやトークを展開しました。
漢服は、漢民族の伝統的な服装を現代風にアレンジしたスタイルとして、若い世代の間で広がっています。番組では、中国各地だけでなく世界に暮らす若い中国人から短い動画を募集し、それぞれがいる場所で撮影したメッセージをつなぐことで、「世界中から参加する年越し」を演出しました。
年越し番組が映し出す「中国発の国際ニュース」のいま
この年越し特番は、単なる娯楽番組というより、ニュースとカルチャーを組み合わせた「国際ニュース番組の拡張版」とも言えます。戦闘が続くガザ地区の声と、花火やライオンダンスによる祝祭の風景が一つの画面に並ぶ構成は、今日の世界が抱える複雑さをそのまま映し出しているようにも見えます。
一方で、ライオンダンスや漢服、内モンゴルの歌と踊り、各地の花火といった要素は、中国の多様な文化を海外に紹介するカルチャー発信の側面も持っています。国や地域を越えた視聴者に向けて、自国や世界の姿をどのように見せるのか──番組全体に、そうした意図が読み取れます。
SNS時代の参加型ライブという方向性
若い世代から短い動画を集めて番組内で紹介するスタイルは、SNS時代らしい工夫です。視聴者が「見るだけ」ではなく、自分も映像の一部として参加できることで、画面の向こうの出来事が少し身近に感じられます。
番組で紹介された各地の風景やパフォーマンス、若者たちの動画は、短いクリップとして切り出してSNS上で共有しやすい内容でもあります。国際ニュースとエンターテインメントが交差する領域で、どのように視聴者との距離を縮めようとしているのかがうかがえます。
日本の視聴者にとってのヒント
日本でも年末年始は、バラエティ番組や音楽番組、ニュース特番、配信サービスなど、さまざまな「年越しの選択肢」があります。他の国や地域の年越し番組を知ることは、自分たちが何を「当たり前」と感じているのかを見直すきっかけにもなります。
トルコの広場、ガザ地区の願い、ケニアの街、中国各地のパフォーマンス──一つの番組が複数の地域を同時に映すことで、世界は想像以上に「つながっている」と感じられます。これから迎える新しい年に向けて、どのようなニュースや映像とともに年越しの瞬間を過ごしたいのか、一度立ち止まって考えてみるのもよさそうです。
Reference(s):
cgtn.com



