新疆イリ川流域で家畜約396万頭が春季移動 遊牧民の暮らしに密着 video poster
2025年春、中国北西部の新疆ウイグル自治区イリ川流域では、約396万頭もの家畜が冬牧場から春の牧草地へと移動しました。四か月にわたる冬越しを終えた動物たちが、一斉に新しい草を求めて動き出すこの季節は、地域の自然と人の暮らしを象徴する大きな節目です。
春になると始まる家畜の「引っ越し」
イリ川流域を含む新疆ウイグル自治区の各地では、春になると家畜が北部から南部へと少しずつ移動していきます。長い冬のあいだ雪や寒さを避けて過ごしてきた冬牧場から、より草が豊富で過ごしやすい春の牧草地へと移る「季節移動」です。
移動は一度に終わるわけではなく、天候や草の育ち具合を見ながら、家畜とともにゆっくりと進みます。家畜の体力を守りつつ、牧草地への負担も抑える、経験に基づいたリズムです。
約396万頭が動くイリ川流域のスケール
イリ川流域では、この春季移動に参加する家畜の数が約396万5千頭にのぼるとされています。数字だけを見るとつかみにくい規模ですが、谷あいの草原を埋め尽くすように動物の群れがゆっくりと進んでいく光景は、まさに「大移動」と呼ぶにふさわしいものです。
こうした移動は、家畜の健康を守るだけでなく、同じ場所に長くとどまらず草を循環させることで、牧草地を守る役割も果たしています。自然環境と折り合いをつけながら暮らしてきた知恵が、今も生きているといえます。
遊牧民の暮らしと春の忙しさ
家畜の季節移動は、遊牧民の暮らしの中心でもあります。冬のあいだに整えてきた道具や食料を積み込み、家族で協力しながら移動に備えます。移動の最中も、家畜の様子をこまめに確かめ、水場や休憩場所を選ぶ判断が欠かせません。
イリ川流域の春の牧草地では、テントや簡易な住居が点在し、家畜の声とともに一日の時間が流れていきます。都市からは見えにくいこうした暮らしが、地域の食と経済を支えています。
季節のリズムから見えるもの
家畜の春季移動は、ニュースとしては一瞬の出来事に見えますが、その背景には一年を通じた準備と、土地の環境を見極める長い経験があります。イリ川流域の春の風景を追うことは、人と自然がどのように共存してきたのかを考えるきっかけにもなります。
スマートフォン越しに世界の出来事を眺める私たちにとっても、季節ごとに場所を移しながら暮らす人びとの視点に触れることは、「当たり前の暮らし」を問い直すヒントになるかもしれません。
Reference(s):
Live: Exploring the livestock spring migrations in Ili River Valley
cgtn.com








