中国・都江堰の宝瓶口 国際ニュースで注目の2200年前の水利システム video poster
中国の古代水利施設・都江堰の中核をなす「宝瓶口(ほうびょうこう)」が、約2200年前から続く持続可能な水管理の仕組みとしてあらためて注目されています。本記事では、この「千年の水門」が2025年のいまも成都平原をどのように支えているのかを、日本語で分かりやすく整理します。
約2200年前に築かれた古代の「水のインフラ」
宝瓶口は、都江堰水利システムの要となる施設で、玉垒山と離堆のあいだに位置します。設計したのは古代のエンジニアである李氷で、岩盤を「火」と「水」を組み合わせた方法で少しずつ砕き、人力だけで水路を切り開いたとされています。
この水路は、上流の岷江から水を引き入れる入り口の役割を持ち、成都平原一帯に水を届ける起点となっています。ダムのように水をせき止めるのではなく、地形と流れを活かしてコントロールする点が特徴です。
ボトルの口のような形で水量を自動調整
宝瓶口の水路は、長さが約40メートル、幅が約17メートルあります。さらに季節に応じて、実際に水が流れ込む幅をおよそ19〜23メートルのあいだで調整することで、水量をコントロールできる構造になっています。
名称の「宝瓶口」は、直訳すると「宝物の瓶の口」という意味で、その形がボトルの口に似ていることから付けられました。細くくびれた入り口を通して水を取り入れることで、増水期には流入量を抑え、渇水期には必要な水を確保する役割を果たします。
「飛沙堰」との連携で洪水と干ばつを防ぐ
宝瓶口のすぐ近くには、「飛沙堰」と呼ばれる堤防状の構造物も設けられています。飛沙堰は、宝瓶口に入りきらない余分な水を別の方向へ流すことで、洪水を防ぐ役割を担っています。
さらに、この仕組みは土砂対策にも優れています。水の流れがつくる遠心力を利用して、上流から流れてくる土砂のおよそ75%を洗い流し、別の流路へ逃がすことで、宝瓶口の水路や下流域に土砂が溜まりすぎないようにしています。
宝瓶口と飛沙堰が組み合わさることで、洪水と干ばつの両方を防ぎつつ、長期的に安定した水供給を実現してきました。このシステムが長年にわたって成都平原を潤し、農業や暮らしを支え続けているとされています。
2025年のいま、なぜ古代水利がニュースになるのか
気候変動の影響で世界各地で水害や干ばつが問題化するなか、自然の地形と水の流れを巧みに利用した宝瓶口のような古代の水利技術は、持続可能なインフラのヒントとしてあらためて注目されています。
都江堰の宝瓶口には、現代の視点から見ても学べるポイントがいくつかあります。
- 季節ごとの水量変化に合わせて、入り口の幅を調整する設計
- 遠心力を利用して土砂のおよそ75%を自動的に排出する仕組み
- ダムに頼らず、洪水と干ばつの両方を抑える長期的な水管理
こうした特徴から、国際メディアのCGTNは「Live: Enjoying Dujiangyans 'millennium sluice' Baopingkou」と題したライブ配信を行い、現地の静けさとダイナミックな水の動きを世界に伝えています。視聴者は、画面越しに古代から続く水のリズムと、周囲の落ち着いた風景を体感することができます。
古代のエンジニア・李氷が築いた宝瓶口の仕組みは、約2200年を経た2025年の現在も成都平原を潤し続けています。歴史遺産としての価値だけでなく、これからの水インフラや都市計画を考えるうえで、静かに示唆を投げかける存在だといえるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








