ペルー外相が語るAPECと対アジア戦略 中国は何を意味するのか video poster
南米ペルーが、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議を3度目となる形でホストする予定です。アジアとの関係を一段と深めようとするこのタイミングで、ペルーのエルマー・シアレル外相が「いまのペルーにとって中国は何を意味するのか」という視点を示しています。
なぜペルーはAPECを重視するのか
APECは、アジア太平洋地域のメンバーが集まり、貿易や投資、デジタル経済などについて話し合う枠組みです。ペルーはそのAPEC首脳会議を3回も主催することになっており、これは南米の国としては異例の存在感といえます。
ペルーにとって、APECを重視する背景には次のような狙いがあります。
- アジア太平洋の成長を自国の経済成長につなげたい
- 資源輸出だけに頼らない、多角的な経済構造を築きたい
- 観光や教育、人の往来を通じて対アジアのつながりを深めたい
2025年の世界経済は減速や分断リスクが意識されるなかで、APECのような対話の場をどう活用するかは、ペルーだけでなく日本を含むアジアの国々・地域にとっても重要なテーマになっています。
シアレル外相が語る「中国の位置づけ」
シアレル外相は、ペルーとアジアの関係を語るうえで、中国の存在を外すことはできないとしています。外相の視点からは、おおまかに次のような3つのポイントが見えてきます。
1. 経済パートナーとしての中国
ペルーにとって中国は、鉱物資源や農産物などの重要な輸出先であり、同時に多様な製品の供給元でもあります。市場としての規模、そして中長期的な需要の大きさを考えると、中国はペルー経済の安定と成長を支える「外部のエンジン」の一つとして位置づけられています。
2. 投資とインフラをめぐるパートナー
アジアとの結びつきを強めるには、港湾や鉄道、デジタルインフラなど、ハード・ソフト両面での基盤整備が欠かせません。シアレル外相が示す中国像には、こうしたインフラ整備や産業投資に関わるパートナーという側面も含まれています。
ペルー側から見れば、中国を含むアジアのパートナーを活用することで、自国の物流のハブ化や、付加価値の高い産業への転換を進めたいという思惑があります。
3. 多極化する世界での「選択肢」として
米州とアジアの間に位置するペルーにとって、中国との関係は、一つの勢力に偏らないバランスを取るうえでも意味を持ちます。シアレル外相の視点には、多極化する国際秩序のなかで、中国を含むアジアとの関係を「リスク」ではなく「選択肢」としてどう活かすか、という発想がにじんでいます。
日本を含むアジアにとっての意味
では、日本を含むアジアの読者にとって、ペルーのこうした動きはどんな意味を持つのでしょうか。
- アジア太平洋をめぐる経済圏が、「アジア対南米」ではなく「環太平洋」という一体の場として再構成されつつあること
- 資源国ペルーが、中国だけでなく広くアジアとの関係を重視することで、エネルギー・資源供給の選択肢が中長期的に多様化していく可能性があること
- APECという多国間の枠組みが、地政学的な対立を超えて、実務的な協力の場として維持・活用されるかどうかを占う一つの試金石になること
「遠い南米」を自分ごととして考える
日本から見ると、ペルーや南米は地理的にも心理的にも遠い存在に感じられがちです。しかし、APECを通じてアジアとの結びつきを強めようとするペルーの選択は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 自国の成長戦略のなかで、どの地域とのつながりをどのように位置づけるのか
- 巨大な市場である中国との関係を、いかに現実的かつ安定的にマネジメントしていくのか
- 多国間の枠組みを、対立の場ではなく「共通の課題を議論する場」として生かし続けられるか
ペルーが3度目のAPECホストを務めるという事実と、シアレル外相が共有する中国観は、アジア太平洋がこれからどのような方向に向かうのかを考えるうえで、静かだが示唆に富んだ素材になっています。
Reference(s):
cgtn.com








