IAEA理事会がイラン核問題で新決議 西側は包括報告書で協議再開狙う
国際原子力機関(IAEA)の理事会は木曜日、イランに対し核計画を巡る協力の改善を改めて求める決議を採択しました。西側主要国は、IAEAがまとめる包括報告書をてこに、イランを新たな核協議のテーブルに戻す狙いです。
IAEA理事会、イランに「緊急の協力改善」を要求
国連の原子力監視機関であるIAEAの35カ国からなる理事会は、イランに対し、同機関との協力を「緊急に」改善するよう求める決議を可決しました。この決議は、理事会が過去にも繰り返してきた要求を改めて確認するものです。
決議案は、英国、フランス、ドイツ、アメリカが共同で提出しました。4カ国は、イランが土壇場で提案した「兵器級に近いウラン在庫の上限設定」について、十分ではなく真剣さを欠く対応だと受け止めています。
未申告核物質の「包括報告書」を要請
今回の決議文には、2022年11月の決議と同じ文言が繰り返され、イランに対して次の点が「不可欠かつ緊急」だとされています。
- 未申告施設で見つかったウランの痕跡について説明すること
- 必要に応じてIAEAがサンプル採取を行えるようにすること
理事会はIAEAに対し、イランの核計画を巡る「未申告核物質の存在または使用の可能性」について、過去と現在の未解決問題を含めた「包括的かつ最新の評価」をまとめるよう求めています。その中には、イランがこれらの問題でどの程度IAEAに協力しているのかも詳細に盛り込むよう注文しています。
この包括報告書は、2025年春までにとりまとめるよう要請されており、西側諸国はこれがイランに対する圧力となり、新たな核制限交渉を促すことを期待していました。
背景にある2015年核合意と「スナップバック」
決議には、イランとの核問題を巡る2015年の合意も影を落としています。もし新たな制限について合意が得られない場合、この包括報告書は、いわゆる「スナップバック」を求める根拠として使われる可能性があります。
「スナップバック」とは、2015年の核合意に定められた仕組みで、問題が解決しない場合にイラン問題を国連安全保障理事会に付託し、合意に基づいて解除されていた制裁を再び発動できる手続きです。西側にとっては、外交圧力を段階的に強める際の重要なカードと位置づけられます。
イランの反応:監視縮小か、活動拡大か
イランはこれまでも、IAEA理事会から批判的な決議が出るたびに反発を強めてきました。過去には核活動を拡大したり、IAEAの監視や査察へのアクセスを減らしたりして対抗してきた経緯があります。
今回も決議採択直後、イラン外務省とイラン原子力庁の共同声明として、核当局トップのモハンマド・エスラミ氏が、新たな高度な遠心分離機の稼働など複数の措置を命じたと伝えられました。これにより、新たな遠心分離機が次々と稼働することになります。
投票前、ある外交筋は「もし決議が採択されれば、イランは核活動を拡大するか、IAEAへのアクセスを減らすかのどちらかで応じるだろう」と述べており、その見立てのとおりの展開になりつつあります。
理事会で割れた各国の立場
今回のイラン決議は、理事会内の温度差も浮き彫りにしました。外交筋によると、採決の内訳は次の通りでした。
- 賛成:19カ国
- 反対:中国、ロシア、ブルキナファソの3カ国
- 棄権:12カ国
中国やロシアなどが反対に回ったことは、圧力一辺倒ではなく、対話や段階的な信頼醸成を重視すべきだと考える国々の存在も示しています。一方で、多数の国が決議を支持した事実は、イランに対する説明要求が国際社会の共通した関心事であることを改めて浮き彫りにしました。
これから何が問われるのか
今回の決議は、イラン核問題が依然として国際安全保障の焦点であることを映し出しています。今後問われるのは、次のような点だと言えるでしょう。
- イランがIAEAの求める説明やサンプル採取にどこまで応じるのか
- IAEAがまとめる包括報告書の内容が、どれほど詳細で説得力を持つものになるのか
- 西側諸国が報告書をもとに新たな協議を優先するのか、それとも「スナップバック」を含む制裁再発動へと舵を切るのか
核開発の透明性を高めるのか、それとも対立が深まり、監視がさらに難しくなるのか。今回のIAEA決議は、その分かれ目に向けた一つの節目となりそうです。
Reference(s):
IAEA Board passes Iran resolution as West pushes Tehran towards talks
cgtn.com








