トランプ氏の「100%関税」発言とBRICSのドル離れ:逆効果のリスク video poster
トランプ氏の「100%関税」発言が投げかける波紋
米国のドナルド・トランプ氏が、国際貿易で米ドル離れを進めようとするBRICS加盟国に対し、「100%の関税」を科すと警告していると伝えられています。2025年現在、米ドルは依然として世界の基軸通貨ですが、この発言は、通貨をめぐる力学と国際秩序にどんな影響を与えるのでしょうか。
一部の専門家は、こうした関税の脅しが、狙いとは逆に「ドル離れ(デドル化)」の流れを加速させるおそれがあると指摘しています。本記事では、この国際ニュースの背景と論点を、日本語で分かりやすく整理します。
BRICSと「ドル離れ」をめぐる動き
BRICSは、中国、ブラジル、ロシア、インドなどが参加する、9カ国からなる枠組みです。ここ数年、加盟国のあいだでは、国際貿易や投資で米ドルへの依存を減らし、自国通貨や別の通貨で決済する可能性が話し合われてきました。
こうした「ドル離れ(デドル化)」の動きには、主に次のような狙いがあるとされています。
- 米ドルの為替変動に左右されるリスクを減らしたい
- 金融制裁など、米国の政策に影響されにくい決済手段を確保したい
- 自国通貨の存在感を高め、交渉力を強めたい
トランプ氏の発言は、まさにこの流れに正面から異を唱えるもので、「ドルを使わなければ高い関税を科す」というメッセージとして受け止められています。
関税の脅しが「ドル離れ」を加速させる理由
ではなぜ、一部の専門家は「100%関税」の脅しが逆効果になりかねないと見るのでしょうか。その背景には、次のようなメカニズムがあります。
1. 通貨の強制は「政治リスク」と見なされる
ある通貨の利用が、関税という形で事実上強制されると、相手国からは「この通貨に依存すると、いつでも政策手段として使われるかもしれない」という不安が生まれます。これは、米ドルを使うこと自体が政治リスクになるという印象を強めかねません。
その結果、短期的にはドル建て取引が維持されたとしても、中長期的には「できるだけドルへの依存を減らしたい」というインセンティブが、BRICS諸国のあいだで一層強まる可能性があります。
2. 代替ルートや新たな決済システムの開発を促す
高い関税が現実味を帯びるほど、企業や政府は「関税を回避できる取引ルート」や「別の通貨・別の決済システム」を真剣に模索するようになります。結果として、BRICS諸国の間で、ドル以外の通貨を使った貿易や金融ネットワーク作りが加速することも考えられます。
3. 「ドル支配」への共通の反発が連帯を生む
個々の国がバラバラに動くよりも、「ドルへの依存を減らしたい」という問題意識を共有する国同士がまとまった方が、通貨や金融の新たな枠組みを作りやすくなります。トランプ氏の発言は、BRICSのようなグループ内部の結束を、思わぬ形で強めるきっかけになり得ます。
世界経済と日本にとっての意味
もし「ドル離れ」の流れが加速すれば、世界経済と日本企業にも少なくない影響が及びます。
- 国際取引で使われる通貨が多様化し、為替リスクの管理がより複雑になる
- 米ドル1強だった金融市場の構図が、徐々に多極化していく可能性がある
- 日本企業がBRICS諸国と取引する際、決済通貨や条件の選択肢が増える一方で、対応コストも増える
2025年の時点では、米ドルが国際金融システムで占める地位は依然として大きく、一気に別の通貨に置き換わる状況にはありません。それでも、通貨をめぐる政治的な駆け引きが続けば、「少しずつドルへの依存を減らす」という流れはじわじわと進むかもしれません。
これから注視したい3つのポイント
- トランプ氏を含む米国の政治家が、通貨と関税をどのように結びつけて議論していくのか
- BRICS諸国のあいだで、ドル以外の通貨や独自の決済システムづくりがどこまで具体化するのか
- 日本を含む各国の企業・投資家が、通貨リスクとどう向き合い、戦略を見直していくのか
国際ニュースとしてのトランプ氏の「100%関税」発言は、単なる関税の話ではなく、「どの通貨を信頼し、どのルールで世界貿易を動かすのか」という、より大きな問いを私たちに投げかけています。通勤時間の数分で追えるニュースの先に、長期的な視点で自分なりの答えを考えてみる余地がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








