トランプ米大統領、FEMAの抜本見直しを表明 ハリケーン対応を批判
ハリケーン「ヘレーネ」の被災地視察で、トランプ米大統領が連邦緊急事態管理庁(FEMA)の「抜本見直し」どころか「廃止」にまで言及しました。アメリカの災害対応と連邦・州の役割を揺さぶる国際ニュースとして注目されています。
先週金曜日、被災地で飛び出したFEMA批判
先週金曜日、トランプ米大統領は、今年9月のハリケーン「ヘレーネ」で甚大な洪水被害を受けたノースカロライナ州を訪問しました。これは、先週月曜日に大統領職に復帰して以来、初めての出張でした。
視察の中でトランプ氏は、FEMAについて「災害そのものになってしまった」と手厳しく批判し、FEMAを抜本的に作り替えるか、場合によっては廃止する大統領令に署名する考えを示しました。災害時には州に直接連邦資金を渡し、各州が自ら対応する仕組みの方が望ましいとの考えも示しています。
トランプ氏は、ヘレーネ後のFEMAの対応が不十分だったと主張し、当時のバイデン前政権が西部ノースカロライナの復旧支援を怠ったと批判しています。これに対してバイデン側は、そのような批判は誤情報だとして退けました。
FEMAとはどんな機関か
FEMA(連邦緊急事態管理庁)は、自然災害などの非常時に、被災地へ人員・物資・装備を送り込み、復旧の初動を支えるアメリカ連邦政府の機関です。元大統領ジミー・カーター氏の大統領令で設立され、その後、連邦議会が予算や役割を定めてきました。
現在、FEMAは全米を10の地域事務所でカバーし、2万人を超える職員を抱えています。近年の極端な気象現象の増加に伴い、FEMAへの予算も急増してきました。直前の4年間は民主党のジョー・バイデン前政権のもとで運営されてきました。
大統領令だけでFEMAは廃止できるのか
専門家の多くは、トランプ氏が一方的にFEMAを廃止することは難しいと見ています。オバマ政権時代に環境保護庁(EPA)で勤務し、現在はロヨラ大学ニューオーリンズ校ロースクールの教授を務めるロブ・ヴァーチック氏は、FEMAの廃止には議会の関与が不可欠だと指摘しました。
FEMAは大統領令で設置されたものの、その具体的な権限や予算は法律にも組み込まれています。そのため、仮に大統領令で組織図を変えようとしても、連邦議会が関連法と予算を改正しない限り、実質的な「廃止」には至らない可能性が高いとみられます。
保守陣営が描く「プロジェクト2025」との接点
FEMAは、トランプ氏の側近らが政権2期目に向けてまとめた保守系政策集「プロジェクト2025」でも見直しの対象になっていました。この計画は、国土安全保障省を解体し、FEMAを内務省や運輸省の管轄に移す案などを提案しています。
さらに、連邦の災害支援をどのタイミングで発動するかを決めるFEMAの算定式を変更し、防災や復旧の費用負担を州に大きく振り向けることも提案されていました。トランプ氏は選挙期間中、この計画から距離を置いていたとされていますが、今回の発言は一部構想を事実上なぞる形にも見えます。
被災地と連邦機関の評価のギャップ
一方、ノースカロライナ州選出の民主党連邦下院議員デボラ・ロス氏は、Xへの投稿で、FEMAはヘレーネ後の復旧で「重要なパートナー」だったと評価しました。そのうえで、「トランプ大統領が西部ノースカロライナを気にかけてくれることには感謝するが、FEMAをなくしてしまうのは州にとって大災害だ」と反論しています。
トランプ氏はノースカロライナ視察の後、今月、複数の大規模な山火事で深刻な被害が出ているロサンゼルスにも向かう予定で、自然災害の現場を立て続けに訪れる日程となっています。
移民政策や行政改革と一体で進む「初動ラッシュ」
FEMA見直し発言は、トランプ氏が公約の「即時実行」を次々と打ち出している流れの中に位置づけられます。先週は、不法移民対策、連邦政府職員の削減、エネルギー・環境、ジェンダーや多様性に関する政策などで、相次いで方針転換が示されました。
1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件で収監された支持者への恩赦に加え、先週金曜日には、米軍の大型輸送機C-17を使って拘束中の移民を国外に移送する大規模な送還作戦も始まりました。ホワイトハウスはこれを「歴史上最大の大規模送還作戦」と表現しています。
日本から見える論点:誰が災害リスクを負うのか
今回の国際ニュースは、日本の読者にとっても他人事ではありません。巨大災害が増える中で、
- 国と地方(州)のどちらが、どこまで責任と費用を負うべきか
- 専門職員と物資を持つ中央の機関を弱めたとき、初動対応に何が起きるのか
- 災害対応や移民政策が、どのように政治的な対立の材料にされるのか
といった論点は、日本の防災体制や地方自治の議論とも重なります。トランプ政権の今後の動き次第では、アメリカの災害支援の仕組みが大きく変わり、世界のリスク管理の議論にも波及する可能性があります。
Reference(s):
cgtn.com








