ドイツ総選挙で保守勢力がリード 経済停滞と移民が焦点に
連立政権の崩壊を受けて前倒し実施となったドイツ連邦議会選挙が日曜日に行われ、有権者は停滞する経済と移民政策をめぐる不安の中で新たな政権の行方を問いました。
連立崩壊で前倒しとなった総選挙
今回のドイツ総選挙は、本来は今年9月に予定されていましたが、社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)による与党連立が昨年崩壊したことで、前倒しの総選挙となりました。選挙では、連邦議会(下院)630議席の構成が決まり、安定した連邦政府をつくるには過半数の議席が必要です。
公式な数字によると、全国299の小選挙区から合計4,506人の候補者が立候補し、有権者は少なくとも5,920万人に上りました。投票所は現地時間午前8時(グリニッジ標準時7時)に開き、午後6時(同5時)に閉まるとされ、投票終了後には開票と出口調査の公表が見込まれていました。
CDU/CSUが優位も、連立模索は不可避
選挙直前の世論調査では、キリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)の姉妹政党が一歩リードしていました。世論調査会社フォルザが金曜日に公表した調査では、CDU/CSUの支持率は29%で、極右政党とされるドイツのための選択肢(AfD)が21%、オラフ・ショルツ首相率いるSPDが15%となっています。
ただ、ドイツの政党システムは細分化が進んでおり、CDU/CSUが単独で過半数を得る可能性は低いとみられています。ドイツの政治情勢が多党化していることから、政権樹立には複数政党による連立が不可欠で、選挙後の組み合わせ探しと交渉が政治の焦点となります。
フォルザの調査では、回答者の22%が投票先をまだ決めていないと答えており、投票行動次第では議席配分が大きく変わる可能性もありました。
AfDの伸長と「誰と組むのか」という難題
今回の総選挙では、AfDがこれまでで最も高い得票を得る可能性が指摘されています。選挙戦では、移民政策をめぐる論争とともに、このAfDにどう向き合うべきかをめぐって、主要政党の間で対立が鮮明になりました。
ドイツでは、ナチスの歴史を背景に、極右政治への強い警戒感が根強くあります。その一方で、AfDが一定の支持を集める現実をどう受け止めるのか、各党は選挙後の連立交渉をにらみながら難しい判断を迫られています。
経済停滞と生活不安
ヨーロッパ最大の経済規模を持つドイツは、ここ2年連続で景気後退に直面し、「欧州の経済大国」が不調に陥っているとされています。企業は世界の競合との競争に苦しみ、成長の柱をどう再構築するかが課題となっています。
人々の生活実感も厳しくなっています。調査会社ギャラップによれば、自分の生活水準が「良くなっている」と感じる人の割合は、2023年の42%から昨年は27%へと大きく低下しました。金融危機が起きた2008年以来、最も悲観的な水準だとされています。
移民政策をめぐる意識の変化
2015年の欧州の難民危機の際、ドイツ社会には「難民歓迎」の雰囲気が広がり、その寛容な姿勢は国際的にも象徴的な出来事として受け止められました。あれから時がたち、移民や難民の受け入れに対する世論は大きく変化し、より厳しい見方が広がっているとされます。
今回の選挙戦でも、移民と社会統合の問題は主要な争点のひとつでした。受け入れに慎重な立場を取る勢力と、人道的な観点を重視する勢力との間で議論が交わされ、有権者の間にも迷いが見られます。
長期政権空白がもたらすリスク
選挙後の連立交渉は難航する可能性が高いとみられています。移民政策やAfDへの対応などで溝が深いなかで折り合いをつけるには時間がかかり、ショルツ首相が暫定的な立場で数カ月にわたって職務を続ける展開も予想されています。
その場合、2年連続の景気後退から立て直すために急ぎが必要とされる政策が先送りされる懸念があります。企業の競争力を高め、成長を回復させるための具体策は、どのような連立の組み合わせになっても避けて通れない論点となりそうです。
欧州と世界への波紋
ドイツは輸出に重点を置く経済構造と、安全保障面で長く米国に頼ってきた歴史を持ちます。こうしたなかで、ドナルド・トランプ米大統領が通商戦争を示唆していることや、ウクライナ停戦合意を欧州抜きで進めようとする試みは、ドイツにとって大きな不確実性の要因です。
新政権づくりが長期化すれば、欧州の中心で政治的リーダーシップの空白が生じ、欧州連合(EU)の政策運営や対外関係にも影響が及ぶ可能性があります。ドイツの総選挙の行方は、国内の政権交代にとどまらず、欧州と世界の政治・経済の今後を占う試金石として注目され続けそうです。
Reference(s):
cgtn.com








