オーストリアで歴史的3党連立 ストッカー氏が首相就任
オーストリアで保守系政党の党首クリスティアン・ストッカー氏が新首相に就任しました。極右政党が選挙で第1党となりながら政権入りを逃した今回の歴史的な3党連立は、揺れる欧州政治の行方を占う動きとして注目されています。
極右が第1党でも政権入りせず 歴史的な3党連立が発足
アルプスのEU加盟国オーストリアでは、今年9月の総選挙で自由党(FPOe)が初めて第1党となり、およそ3割の得票を獲得しました。自由党は先月、2位となった保守系の国民党(OeVP)と組み、同国初となる極右主導の政権樹立を目指しましたが、連立協議は不調に終わりました。
その後も連立交渉は難航し、オーストリアは現代史で最も長く新政権不在の状態が続いていました。こうした中で先週、OeVPと2つの中道政党が合意し、3党による連立政権樹立で決着しました。
現地時間の月曜日、OeVP党首のストッカー氏がウィーンのホーフブルク宮殿でアレクサンダー・ファンデアベレン大統領から首相に正式に任命され、新内閣の閣僚もそろって宣誓しました。
「難しい時代」の安定政権 大統領が強調
就任式でファンデアベレン大統領は、地政学的な緊張が続く「難しい」時代だからこそ、安定した政府を持つことが重要だと強調しました。
特に、先週末に起きたドナルド・トランプ米大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー氏とのホワイトハウスでの対立をめぐるヨーロッパ各国の反応に触れながら、欧州は政治面でも平和維持の面でも、新しいかたちで結束し直す必要があると呼びかけました。
ストッカー新首相とはどんな人物か
新首相となったストッカー氏は64歳の弁護士で、フライフィッシングやゴルフ、サックス演奏を楽しむ一面も持っています。2019年に国政レベルの議員となる以前は、ウィーン近郊の故郷ウィーナー・ノイシュタットで副市長を務めてきた地方政治家として知られてきました。
2022年にはOeVPの幹事長に就任し、今年、極右政党を含まない3党連立協議の第1ラウンドが決裂したあと、カール・ネーハンマー前首相の後任として党首に選出されました。今回、党首就任から短期間で首相の座に就いたかたちです。
欧州政治の今を映すオーストリアの選択
今回の政権樹立は、次のような点で注目されています。
- 極右政党が第1党となっても、他党が連立に加わらなければ、政権を主導できないことが改めて示されたこと
- 保守政党と中道政党が連携し、極右との連立ではなく3党連立という「第三の選択」を取ったこと
- 国際情勢が不安定な中で、国家の安定を最優先に据える判断がなされたこと
オーストリアの事例は、極端な主張が支持を広げる一方で、実際に政権運営を担うには幅広い合意形成が欠かせないことを、あらためて浮き彫りにしています。
日本の読者への問いかけ
今回のオーストリアの動きは、遠いヨーロッパの出来事のように見えますが、次のような問いを私たちにも投げかけています。
- 選挙で「勝つ」ことと、実際に政権を担うことの違いをどう考えるか
- 安全保障環境が厳しさを増すなかで、私たちは政治に何を優先して求めるのか
- 異なる立場の政党が妥協し合い、「落としどころ」を探ることに、どこまで意味を見いだせるか
ストッカー新政権が今後どのような政策を打ち出し、欧州の政治バランスにどのような影響を与えるのか。オーストリア発のこの国際ニュースは、しばらく注視していく価値がありそうです。
Reference(s):
Austria's unlikely chancellor starts job of leading historic coalition
cgtn.com








